私の思いと技術的覚え書き

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水平対向エンジンのこと

2008-12-17 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険

Kokutetubaseg? 写真は鉄道博物館で見た国鉄(当時)の高速道路用バスの水平対向ディーゼル12気筒エンジン(日野製)です。この水平対向エンジンですが、現在でもスバルやポルシェが頑なに作り続けています。

 ただ、水平対向のエンジン形状であっても、180度V型と水平対向エンジンは、クランクピン部の形状が異なります。180度V型では、相対するシリンダー間のクランクピン部(コンロッドのビックエンドが勘合する部位)が共用されますから、相対するピストンは同方向に移動します。一方、水平対向エンジンでは、それぞれのシリンダー用に専用のクランクピン部を持ちますから、相対するピストンは向かい合い打ち合う様(つまりボクサー)に移動します。従って、水平方向の一次振動を相殺することができるメリットがある訳です。

 そんなメリットを持つ水平対向エンジンですが、各シリンダー用に専用クランクピン部を設置するために、クランクウェブが極薄の構造となりがち(通称カミソリクランク等と呼ばれる)で、クランクシャフト剛性の確保が難しいという欠点があるのです。

 マックイーンが指揮・製作した映画「栄光へのル・マン」で活躍するレーシングカー・ポルシェ917Kですが、空冷の水平対向12気筒エンジンです。このエンジンは、出力をクランク後端部でなく、クランク中央部からギヤを介してアウトプットしていました。そのギヤ径分だけ、エンジン高が高くなる、つまり重心位置が上がってしまう欠点があったのですが、クランクの捻り剛性上の対策として止むなく取られた設計であったのだと思います。

 12気筒エンジンというのは星形エンジン等を除き、現実上の最大気筒数であり、最上の回転フィーリングを持つ内燃機関のシリンダー構成であると思います。しかし、この半分の6気筒でも、直列型もしくは水平対向型は、一次振動を完全にバランスできるシリンダー構成であり魅力を感じるものであります。昨今は、FF車対応だとか衝突安全性能(クラッシュストロークの確保)のため、V6エンジンが増加していますが、ちょっと残念に感じられるものです。




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