アジャスターが行う賠償交渉のこと(その7)
今回は、修理費絡みの情報提供という視点で、記してみたいと思います。
アジャスターをやっていますと、修理工場や代理店、そして契約者や事故相手等の周辺の折衝相手から各種質問を受けることがあります。これら質問の中で、修理工場(含む板金塗装工場)から受ける質問に真直に答えて行くことは、自らの信頼感の醸成を図る意味でも大切なことだと感じています。
しかし、幾らアジャスターとして広範な知識を持っていたとしても、種々雑多な質問に総て即答できるなんてことはないのであって、そんな時に備えた自らの情報網を持っているかということが、大きな対応力の差異となるのだと思います。
私は、常にそんな思いを持ち、接する相手で「その道のスペシャリスト」と思う方と巡り会うと、その後の音信を保つ努力を行って来たつもりです。その様な交友関係が、この様な質問への対応だけでなく、各種交渉における障壁の突破にも、大きな力となることを信じます。
それでは、以下リンクで、ある修理工場から受けた「ノア・ヴォクシー(AZR60G)のクォータパネル取替工数に関して」の質問への対応として紹介してみます。
ノア・ヴォクシー(AZR60G)のクォータパネル取替工数に関して
過日、ある修理工場から問い合わせを受けました。この内容は、ノア(AZR60G)で、片側のクォータパネルの下側を取替したのだが、指数の9.4は上側パネルも含み上部カットでの数値であるからして過剰であり、下側パネルのみでは指数(工数)は幾つが妥当なのと云うものでした。
この問い合わせを受け、即答はできなかったので調べた上で改めてお知らせすることを約したのですが、何と真面目な考え方をする工場さんなのかということを思いました。その上で、この様な真面目な工場であれば、なおさら力を入れて答えて行くことが必要と感じました。そんな思いを持った私が、今回の質問への回答発見への思考と作業の過程を以下に記してみます。
さて、本論のことですが、最近のトヨタ系ワンボックス車では、クォータパネルが上下別パネルに分割されている傾向にあることは知っていましたが、該当ノア(60系)のことを、私は把握していませんでした。アウダで該当ノア(60)のクォータ取替指数の解説を確認しますが、確かに9.4であり、上部カットが前提です。適用等で、下側パネルのみカットの設定はないのかいなと思いながら、新しいエスティマ(50系)も上下別パネルだったなあと同様に調べれば、こちらは下側パネルのみ取替を前提として7.6となっています。
ここからが私の真骨頂とする部分です。まあ、人頼みと云うことですが、まず何処の誰に聞くかという選択肢が重要だと思っています。私は、常々日頃の立会先の工場や、他社同業者を含め触れ合う知人等とのお付き合いに際し、この方は私のデータベースになると認識した方は、以後の付き合いを絶やさない様に努めています。また、日頃の付き合いはなくとも、各種の関係組織の業務内容や連絡先の把握も重要なことと思っています。
さて、何処の誰に聞くかですが、まあ安易に本社に聞くという思考を持つ方もいるのかもしれません。しかし、本社に知がないことを知り、そこから同様に第三者に問い合わされることが知りますから、情報の入手時間を重視し二次情報としての劣化を嫌う私の候補とはまずならないのです。そもそも、未だかつて技術的内容で本社にものをたずねたことはありません。そんなことで、今回たずねた組織は自研センター・お客様相談室なのです。
電話に出た同相談室の担当者は、20年程前に私が自研センターへ2年間お邪魔していた際に知る方でした。この方の私の印象は決して良いものではなく、この様な目的がないのであれば、まず話しを行おうとする様なことはない方でしょう。しかし、今回は目的はありますから、そんなことは一切構わずおたずねを伝えました。この結果は、皮肉たっぷりでしたが同問題は、自研ニュース・2003年3月号に掲載されているとのものでした。ありがとうと軽くお礼を伝え、目的を達しました。
早速、自研センターニュース該当号を確認しますと、参考工数6.1+αと記されています。何故に+αなのかと見れば、バックパネルの端部を一部折り曲げる等する作業は含んでいないとのことがコメントされています。
ここで、ノア60系は新型の70系が出てると気づき、再度ノア・ヴォクシー70系のクォータ取替の指数解説を確認すれば、クォータ下側のみ取替の指数値は6.4と設定されています。以上のことより、添付の鏡の文書と共に、関係資料を添えて問い合わせ工場へお知らせした次第です。
なお、通常ディスクワークを行いながら、断続的に本件問い合わせ回答作業を行いましたので確かではありませんが、その延べ作業時間はおよそ1hといったところでしょうか。また、問い合わせから回答までにおよそ3hでした。
追記
私は技術アジャスターという仕事を成し遂げて行く時、大事な要素の一つとして、自らが答えを見つけて行くべき能力にあると思っています。そして、そのことが日々繰り返されていく業務の正否にも大きく影響を与えるものと確信しているのです。
#ことを調べる能力
今回は、修理費絡みの情報提供という視点で、記してみたいと思います。
アジャスターをやっていますと、修理工場や代理店、そして契約者や事故相手等の周辺の折衝相手から各種質問を受けることがあります。これら質問の中で、修理工場(含む板金塗装工場)から受ける質問に真直に答えて行くことは、自らの信頼感の醸成を図る意味でも大切なことだと感じています。
しかし、幾らアジャスターとして広範な知識を持っていたとしても、種々雑多な質問に総て即答できるなんてことはないのであって、そんな時に備えた自らの情報網を持っているかということが、大きな対応力の差異となるのだと思います。
私は、常にそんな思いを持ち、接する相手で「その道のスペシャリスト」と思う方と巡り会うと、その後の音信を保つ努力を行って来たつもりです。その様な交友関係が、この様な質問への対応だけでなく、各種交渉における障壁の突破にも、大きな力となることを信じます。
それでは、以下リンクで、ある修理工場から受けた「ノア・ヴォクシー(AZR60G)のクォータパネル取替工数に関して」の質問への対応として紹介してみます。
ノア・ヴォクシー(AZR60G)のクォータパネル取替工数に関して
過日、ある修理工場から問い合わせを受けました。この内容は、ノア(AZR60G)で、片側のクォータパネルの下側を取替したのだが、指数の9.4は上側パネルも含み上部カットでの数値であるからして過剰であり、下側パネルのみでは指数(工数)は幾つが妥当なのと云うものでした。
この問い合わせを受け、即答はできなかったので調べた上で改めてお知らせすることを約したのですが、何と真面目な考え方をする工場さんなのかということを思いました。その上で、この様な真面目な工場であれば、なおさら力を入れて答えて行くことが必要と感じました。そんな思いを持った私が、今回の質問への回答発見への思考と作業の過程を以下に記してみます。
さて、本論のことですが、最近のトヨタ系ワンボックス車では、クォータパネルが上下別パネルに分割されている傾向にあることは知っていましたが、該当ノア(60系)のことを、私は把握していませんでした。アウダで該当ノア(60)のクォータ取替指数の解説を確認しますが、確かに9.4であり、上部カットが前提です。適用等で、下側パネルのみカットの設定はないのかいなと思いながら、新しいエスティマ(50系)も上下別パネルだったなあと同様に調べれば、こちらは下側パネルのみ取替を前提として7.6となっています。
ここからが私の真骨頂とする部分です。まあ、人頼みと云うことですが、まず何処の誰に聞くかという選択肢が重要だと思っています。私は、常々日頃の立会先の工場や、他社同業者を含め触れ合う知人等とのお付き合いに際し、この方は私のデータベースになると認識した方は、以後の付き合いを絶やさない様に努めています。また、日頃の付き合いはなくとも、各種の関係組織の業務内容や連絡先の把握も重要なことと思っています。
さて、何処の誰に聞くかですが、まあ安易に本社に聞くという思考を持つ方もいるのかもしれません。しかし、本社に知がないことを知り、そこから同様に第三者に問い合わされることが知りますから、情報の入手時間を重視し二次情報としての劣化を嫌う私の候補とはまずならないのです。そもそも、未だかつて技術的内容で本社にものをたずねたことはありません。そんなことで、今回たずねた組織は自研センター・お客様相談室なのです。
電話に出た同相談室の担当者は、20年程前に私が自研センターへ2年間お邪魔していた際に知る方でした。この方の私の印象は決して良いものではなく、この様な目的がないのであれば、まず話しを行おうとする様なことはない方でしょう。しかし、今回は目的はありますから、そんなことは一切構わずおたずねを伝えました。この結果は、皮肉たっぷりでしたが同問題は、自研ニュース・2003年3月号に掲載されているとのものでした。ありがとうと軽くお礼を伝え、目的を達しました。
早速、自研センターニュース該当号を確認しますと、参考工数6.1+αと記されています。何故に+αなのかと見れば、バックパネルの端部を一部折り曲げる等する作業は含んでいないとのことがコメントされています。
ここで、ノア60系は新型の70系が出てると気づき、再度ノア・ヴォクシー70系のクォータ取替の指数解説を確認すれば、クォータ下側のみ取替の指数値は6.4と設定されています。以上のことより、添付の鏡の文書と共に、関係資料を添えて問い合わせ工場へお知らせした次第です。
なお、通常ディスクワークを行いながら、断続的に本件問い合わせ回答作業を行いましたので確かではありませんが、その延べ作業時間はおよそ1hといったところでしょうか。また、問い合わせから回答までにおよそ3hでした。
追記
私は技術アジャスターという仕事を成し遂げて行く時、大事な要素の一つとして、自らが答えを見つけて行くべき能力にあると思っています。そして、そのことが日々繰り返されていく業務の正否にも大きく影響を与えるものと確信しているのです。
#ことを調べる能力