私の思いと技術的覚え書き

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整備受託中の失策と賠償責任について

2018-07-26 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 思えば自動車整備関連業というのは、関連業務に伴い結構なリスクが内在している。すなわち顧客から受託した高価なクルマ(中には1億を超えるクルマだってあるだろう)を整備や運航に関連して、何らかの失策により損壊させた場合、委託者に対し賠償責任が生じるからである。具体的は以下の様なものであろう。
①受託中の移動や保管中に、何らかの事故により受託車両を損壊させたり第三者たる相手方に賠償場合を生じた場合。
 その様な場合に、もし受託車両に対物保険や車両保険が付保されていても、保険約款上から、モータービジネス業の業務に際して生じた事故は、免責(保険の対象から除外)となる。

②受託車両の整備中に、整備の不注意などから整備車両の損害を生じさせた場合。
 例えば、溶接修理作業を行っていて、不注意から火災を生じさせるなど。

③受託整備が完了し納車後、整備の瑕疵から、交通事故や何らかの車両不具合が生じて賠償責任が生じた場合。
 例えば、ブレーキ整備の瑕疵から、制動不良で交通事故が生じたり、車両火災が生じるなど。

 この様な整備工場などモータービジネス業のリスク回避として、受託車保険や生産物賠償責任保険もしくは共済というものがあるが、費用も要することから、必ずしも100%加入している訳ではないだろう。ちなみに整備工場ではないが、三菱重工という超一流企業の呆れる大損害事故の2つの事例を記してみたい。

①ダイヤモンドプリンセス火災事故(2002年)
 豪華客船ダイヤモンドプリンセスを建造中に進水後、船内の艤装工事中、船内の溶接工事の稚拙により火災事故を生じ、船内を広範囲を焼損させた事故である。たぶん、火災部分は船舶工事保険により補填されたのだろうが、大幅な納入延期による遅延損害金により数百億とも云われる損害金を生じたとされる。

②F2戦闘機整備後のテスト飛行による離陸時の墜落事故(2007年)
 F2戦闘機の定期点検のため受託整備後、社内テストパイロット2名による最終確認飛行をしようとして離陸時に墜落を生じ全損事故を生じたもの。この事故原因は、フライバイワイヤーの要となるピッチレートジャイロとヨーレートジャイロの配線の誤接続だと伝わる。そもそも、誤接続出来る構造になってたことも問題だが、飛行前に動作テストもしないで飛行するアホがあるかいう呆れた話しだ。賠償額はF2一機で100億円前後するらしいが、たぶん生産物賠償責任保険(三菱系列の東京海上だろう)で補填はされたのだろうが、あまりにもお粗末な事故だ。





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