改めて損保指数の理解不足を問う
昨日のこと旧知の板金工場主(元静岡車協組合員で今年静岡車協は日車協連を脱退した認証取得の工場)より、Youtube「一般社団法人事故車損害調査協会(略称:DAA)」の中谷氏が指数について話しているが、どう思うか意見を聞かせて欲しいとの要請を受けた。以下は、その視聴を通して感じたことを書き留めるものだ。
【視聴動画】Youtube
自研センターに指数の正確性を問う
https://www.youtube.com/watch?v=i7008LgV3JY
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中谷説明「自研センターに指数の正確性を問う」に感じること 22.8.28記述
約17分の中谷氏の説明を数度聞き直し、以下の意見をまとめたものを書き留める。
全般として中谷氏は指数とか工数のことを十分理解していないことが感じられる。これは、以下の様な事柄から、理解されるところだ。
1.自研センターは標準作業時間を作成しているとあるが、もし自研センターに問うたなら、「いいや自研センターでは指数と云う無名数」を策定していると答えるだろう。 これについては、標準作業時間と云うより、いわゆる巷で言われる「工数」に近いというべきだろう
2.自研センター指数の要素として、正味、準備、余裕の3つの要素があるとしているが、そもそも何故、この三要素に分けて工数が作成されるか理解しているのだろうか?
作業工数の学術書などから読み取ることにより、そもそも作業工数の策定に、この三要素を分けて組み立てる学問的要素は、マスプロダクション(多数製造)の工数計算の必用から生じたものだと伺うことができる。つまり、マスプロダクション(流れ作業もしくはライン作業)における反復製造業においては、まずラインの始動に先立って、各作業担当者の機械設備や工具の準備や必要ストックパーツの準備などの作業が行われる。これが準備作業ということになる。
一方、正味時間とは、各作業担当者がそれぞれの持ち場において、繰り返し行う作業時間値のことになる。
なお、先の作業時間の学術書では、製造数が10に満たないような小ロットの作業においては、そもそも作業の安定度という問題において、正味作業時間の時間計測での把握には馴染まないところが伺え、この場合は見積法とか別の視点が必要だと指摘している。
さらに、余裕時間について、中谷氏は「絶体要する訳ではないものとの前提を云う」が、大きな誤り思考を含んでいると判じられる。余裕とは、一つの作業を完成させれば済むものでなく、終日労務に就業する労働者はロボットではないのだから、工場運営を終日継続する上からも欠くことのできない必用な時間という意識が欠落している。
なお、それが正しいのかは別として指数には30%を正味作業時間に乗じていることはその通りだが、実のところ準備時間には乗じてはいないものの、その準備時間には余裕時間を入れ込んで加算していることは理解しておく必用があるだろう。
また、ここでバックドアの準備時間を20分だと勝手に仮定しているが、本人も理解はしている様ではあるが、自研指数ではバンパーにしか準備時間は入れていない。
3.基表方式の理解不足と指摘の誤り
自研指数が基表で作られていることはその通りで、これはミッチェルなど他国の工数の多くも現在では基表方式で作られていると考えて良いであろう。なお、日整連の点数表も、自研センターほど緻密ではないものの、取り付け要素(ボルト数やサイズなど)を基本として想定作業時間を勘案しているのは間違いないところだろう。
なお、中谷氏は基表方式を公式があるかの様に云うが、基表はあくまでも取り外し取付の構成要素をテーブル化した各種表(例えばボルトではサイズ別、クリップでは方式別、溶接ではスポットとプラグ別とか、合わせのカ所数など)として、それぞれのテーブル表があるはずだ。
ここで、中谷氏は基表値に問題があると指摘するまでは良いが、それを云うなら、指数と云う公に使用を促進しようとする損保には、その透明性を高めるためには各種基表値の情報公開を求めていくべきだろう。つまり、公に使用を求め,それに連動して修理料金が変わるという事実は、その使用についての説明責任が自研センターにはあるという理解にならざるを得ない。これは、情報資産がどうのこうのという問題ではなく、正しい情報かどうか、利用者に検証が可能かの機会を与えることが、中立的立場で眺めれば、基表値の情報公開たる説明責任は自研センターに求められる最大の責務だと当然に理解されるところだろう。
以上
#改めて指数の理解不足を問う
昨日のこと旧知の板金工場主(元静岡車協組合員で今年静岡車協は日車協連を脱退した認証取得の工場)より、Youtube「一般社団法人事故車損害調査協会(略称:DAA)」の中谷氏が指数について話しているが、どう思うか意見を聞かせて欲しいとの要請を受けた。以下は、その視聴を通して感じたことを書き留めるものだ。
【視聴動画】Youtube
自研センターに指数の正確性を問う
https://www.youtube.com/watch?v=i7008LgV3JY
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中谷説明「自研センターに指数の正確性を問う」に感じること 22.8.28記述
約17分の中谷氏の説明を数度聞き直し、以下の意見をまとめたものを書き留める。
全般として中谷氏は指数とか工数のことを十分理解していないことが感じられる。これは、以下の様な事柄から、理解されるところだ。
1.自研センターは標準作業時間を作成しているとあるが、もし自研センターに問うたなら、「いいや自研センターでは指数と云う無名数」を策定していると答えるだろう。 これについては、標準作業時間と云うより、いわゆる巷で言われる「工数」に近いというべきだろう
2.自研センター指数の要素として、正味、準備、余裕の3つの要素があるとしているが、そもそも何故、この三要素に分けて工数が作成されるか理解しているのだろうか?
作業工数の学術書などから読み取ることにより、そもそも作業工数の策定に、この三要素を分けて組み立てる学問的要素は、マスプロダクション(多数製造)の工数計算の必用から生じたものだと伺うことができる。つまり、マスプロダクション(流れ作業もしくはライン作業)における反復製造業においては、まずラインの始動に先立って、各作業担当者の機械設備や工具の準備や必要ストックパーツの準備などの作業が行われる。これが準備作業ということになる。
一方、正味時間とは、各作業担当者がそれぞれの持ち場において、繰り返し行う作業時間値のことになる。
なお、先の作業時間の学術書では、製造数が10に満たないような小ロットの作業においては、そもそも作業の安定度という問題において、正味作業時間の時間計測での把握には馴染まないところが伺え、この場合は見積法とか別の視点が必要だと指摘している。
さらに、余裕時間について、中谷氏は「絶体要する訳ではないものとの前提を云う」が、大きな誤り思考を含んでいると判じられる。余裕とは、一つの作業を完成させれば済むものでなく、終日労務に就業する労働者はロボットではないのだから、工場運営を終日継続する上からも欠くことのできない必用な時間という意識が欠落している。
なお、それが正しいのかは別として指数には30%を正味作業時間に乗じていることはその通りだが、実のところ準備時間には乗じてはいないものの、その準備時間には余裕時間を入れ込んで加算していることは理解しておく必用があるだろう。
また、ここでバックドアの準備時間を20分だと勝手に仮定しているが、本人も理解はしている様ではあるが、自研指数ではバンパーにしか準備時間は入れていない。
3.基表方式の理解不足と指摘の誤り
自研指数が基表で作られていることはその通りで、これはミッチェルなど他国の工数の多くも現在では基表方式で作られていると考えて良いであろう。なお、日整連の点数表も、自研センターほど緻密ではないものの、取り付け要素(ボルト数やサイズなど)を基本として想定作業時間を勘案しているのは間違いないところだろう。
なお、中谷氏は基表方式を公式があるかの様に云うが、基表はあくまでも取り外し取付の構成要素をテーブル化した各種表(例えばボルトではサイズ別、クリップでは方式別、溶接ではスポットとプラグ別とか、合わせのカ所数など)として、それぞれのテーブル表があるはずだ。
ここで、中谷氏は基表値に問題があると指摘するまでは良いが、それを云うなら、指数と云う公に使用を促進しようとする損保には、その透明性を高めるためには各種基表値の情報公開を求めていくべきだろう。つまり、公に使用を求め,それに連動して修理料金が変わるという事実は、その使用についての説明責任が自研センターにはあるという理解にならざるを得ない。これは、情報資産がどうのこうのという問題ではなく、正しい情報かどうか、利用者に検証が可能かの機会を与えることが、中立的立場で眺めれば、基表値の情報公開たる説明責任は自研センターに求められる最大の責務だと当然に理解されるところだろう。
以上
#改めて指数の理解不足を問う