私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

去りゆく者とその寂しさ

2008-01-19 | コラム

 このところ私が勤務する損害調査会社のアジャスター職で、定年を前にして依願退職する方が目立ちつつあります。また、伝え聞く他社アジャスターでも、合併損害調査会社では大量に退職者が発生した様ですし、合併しない損害調査会社でも同様の事象が増えつつある様です。

 最近、私の身の回りで依願退職を行うことになった方2名の方それぞれに、その退職を決意した理由をたずねてみました。何れも定年を相当前にした年齢50才前後で、その勤続年数10年以上の方々です。その主な理由としては、現状の業務におもしろみや魅力が感じられなくなったということや、業務継続に精神的に苦痛を感じていること等々です。

 このことはアジャスターに限らず、すべての企業で多かれ少なかれあることと感じますが、近年の社会環境の変化は、働く者にとって厳しさを増していることは確かなことと感じます。その理由としては、企業収益の悪化や企業に求められるコンプライアンス上の要求、そして個人情報保護法等を理由とした業務の煩雑化、クレーム等が乗じた場合の個人責任の追及等々であります。

 確かに現在の企業活動では、収益力の低下や個人の権利意識の向上等の社会的影響から、社会的な糾弾や内部告発等に端を発する企業運営上のリスクは高まりつつあります。そして、経営者は社内規則を強めつつ、従業員の個別責任を追求しつつあります。しかし、このことは経営者自身の自己保身の裏返しといった側面も垣間見えます。そして、前にも記しましたが、社是・社則や倫理規定等で従業員の人権を謳いながら、その実態は従業員への絶対服従とがんじがらめのマニュアル通りの行動(ロボット化)を求めるという、「言行不一致」が多く見られるのです。 

 さて、私事として、私の業務に対する意識ですが、上記に記した様な環境の悪化は強く感じつつあります。しかし、例えその様な環境の悪化はあるにせよ、私は以下の様な理由によりこの業務に魅力を感じます。健康でありさえすればですが死ぬまで関わり続けたいと思うのです。

  • 大好きなクルマを数多く見続けることができること。
  • 修理費や事故原因の探求といったことに好奇心を持って取り組めること。
  • 多くの人々と関わり続けられること。そして、その中で自分の考え方に良い影響を与えてくれる方に巡り会えること。
  • 不幸な事故の解決を通じて社会貢献ができること。

 以上の様なことから、私は好きで魅力を持つ業務を続けられる幸せ者だと思います。しかし、以前の本ブログにも記していますが、私は基本的に「技術者」であり「職人」であると自覚しております。そして、その様な者が消えつつある現状と、消そうとする経営者達のことをを非常に残念に感じるのです。


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