私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

理論武装に思うこと

2008-09-22 | コラム

 昔は(現在でもでしょうか)、アジャスターたる者は理論武装して常に技術論を戦わさなければならない等と宣う偉い方がおられる訳ですが、私は若干思いが異なりますので記してみます。

 まず、技術アジャスターにとっての戦力の基本は技術力であり、アジャスターたる者は常に新しい技術知識に貧欲であり、戦力としての技術知識を高めなければならいことに異論はありません。しかし、この戦力ですが、国防力と同じですが積極的に戦うためにあるべきものではありません。闘いを防ぐ抑止力として保持すべきものだと云うのが私の思いなのです。ですから、修理工場さんへ訪問し、互いに技術論の戦わせる等と云うのは、私に場合は希なことだと思っているのです。十分な技術力と良識を保持した修理工場さんには、技術論でない数少ない言葉の中で、アジャスター側に十分な技術力があるかどうかは判ってしまうものです。そんな、関係の中で、技術論等という戦力を持ち出すまでもなく、話しは合意に至るものなのだと感じます。

 但し、この技術力という戦力は、見せ掛けであったり張りぼてであったりしてはなりません。そして、いざ実際の闘いが求められる局面に至れば、速やかつ適切な戦力としての対応が出来なければいけないのだと感じます。何れにしても国防と同様に戦力とは、闘いの抑止力として保持することが理想であるというのが私の思いなのです。

 それと私の思いでもあるのですが、技術アジャスターの技術力の源泉とは、自研センターの研修とか社内の技術研修とかで得られるものより、日々の立会における調査業務で研鑽できる部分が相当に大きいと感じています。時々、修理工場さんは、訪問したアジャスターの技術力を試すためでしょうが質問をして来る方がいます。私は、逆に日頃の疑問や自分の中で整理しきれていない問題を、どう思うかと質問することが多くあります。その様にして多くの工場に、同様の問い掛けを繰り返していくと、必ずしも正解ではないのかもしれませんが、自ずと一定の平均的な考え方と云うのが掴めるものなのです。これはアジャスターとして大きな自信に結び付くものだと感じています。

 最後に、この記事を見ている経験不足のアジャスターの方に伝えたいことですが、修理工場へ訪問したら、業務時間が許す範囲でのことですが、本来目的以外の車両や工場設備を含め見て来なさいということです。そんな技術に対する好奇心を持って接することが、如何に技術力の源泉となるのかと云うことを意識してもらいたいと思うのです。しかし、昨今は何処の損調会社も修理工場さんへの立会機会は少なくなりつつありますし、会社によっては工場への滞在時間をパソコンで記録する様な会社まである様ですから、興味を持ってその様な行動を行うこと自体が、困難な時代となってしまったのかもしれません。効率化も大事でしょうが、大変残念な時代となったものと感じます。




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