私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

もう一つのコンプライアンス

2008-02-29 | コラム

 私はメカ屋です。そんな中、10年程前より種々の企業、組織等で求められる様になった「コンプライアンス」(法令遵守)という言葉は、30年前からの私の意識では異なる意味で理解しておりました。それは、クルマのことに一定の知識のある方なら判る通り、クルマのサスペンションでいうところの「コンプライアンス」のことなのです。サスペンションは幾つかのアームで動きを規制された中で、路面の凹凸等に応じてスプリングとダンパーにより上下に動く仕組みとなっています。しかし、路面の凹凸を乗り越える瞬間には、直ちにサスペンションが上下するだけでなく、一瞬車輪を後方に動かす様な動作を持たせています。この動作は主にラバーブッシュの弾力を利用したもの(この様なブッシュをコンプライアンスブッシュと呼びます)なのですが、これにより路面の凹凸通過時のショック(ハーシュネスと呼びます)を吸収し、乗り心地や騒音を軽減しています。従って、クルマのサスペンションで云う「コンプライアンス」とは、柔軟性であるとか、いなす能力であるという意味となろうと思います。
 ところで、法令遵守という意味での「コンプライアンス」ですが、当ブログの昨年12月14日付けでも記しましたが、この意味するところは、単に法令を守れば良いとするものではありません。法令の背後にある社会的な要請に応えていくことがコンプライアンスであると「法令遵守が日本を滅ぼす」(新潮新書:郷原信郎著)では記しています。ですから、こちらのコンプライアンスも法令遵守と硬直的に考えるのではなく、何のためにその法令は作られたのかを考える様な、ある意味で柔軟性が求められているのだと感じます。


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