私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

水中落下車からの脱出

2008-03-01 | 事故と事件

 今日からもう3月です。1月、2月と町で聞くモータービジネス関連の景況感はSuibotu01_4、あまり良い話は聞こえてきません。そんな中ですが、3月は多くの企業が決算期を迎える訳です。2007年度の総括としては、低調な結果とはならざるを得ないものと想像されますが、最後の残された1ヶ月となる今月で、今後の日の出を掴み取るきっかけともなる良い兆候を少しでも見出せれば良いと願います。 

 さて、CATV系のTV番組で、デスカバリーチャンネル「怪しい伝説という番組があります。つい先日、「水中落下車のドアが開かなくなるという伝説は本当なのか?」という趣旨での放送がありました。この内容の紹介を含めて記してみます。
 水中落下車に関わる事故というのは、日本でも時々あります。自殺の場合も多くありますが、福岡の飲酒追突事故(2006/8/25)では、飲酒運転車両に追突を受けた被害車両が橋から転落し、子供3名が水死したという凶悪かつ悲惨な事故もありました。

 番組では、水深4mのプールにクレーンで吊した クルマを水没させ、中に居Suibotu02_2る運転者が実際に脱出できるかを、種々の水没状態で実験してみるというものです。水没実験に使われたクルマは、世の多くを占めるフロントエンジン車ですから、車両前部から斜めになって沈んで行きます。そして、フロントドアガラスの2/3程度以上まで水没しますと、もうドアは人力で押しても開かなくなります。ドアガラスも開かなくなってしまいます。この様な現象は、車両外部の水圧と室内圧の差圧により生じるのです。そして、車両が完全に水没し、ほとんど車両が水平に近くなると、差圧はなくなりドアも ガラスも開くようになります。しかし、この様なドアが開くようになるまでには、水没後90秒前後を要すのです。従って、それまでの間にドアを開けようともがき体力を消耗してしまいますと、とても息が続かず溺れ死んでしまうことなるのです。従って、水没車からの脱出は、水没のなるべく初期にドアもしくはドアガラスを開放させて行うか、水没の中期以降となってしまったら、ドアガラス割損用の専用ハンマー(もしくはセンターポンチでも可)を常備しておいて使用することが望ましいと云うのが実験結果でした。

 補足ですが、ドアガラスの強化ガラスですが、これはガラスを熱処Suibotu03理し、ガラス表面に圧縮層を形成することにより大幅にガラス強度を高めたものです。ですから、強化ガラスは、人力程度で幾ら叩いたり蹴ったりしても割れはしません。しかし、硬く鋭角な金属で圧縮層を破壊すれば、一瞬にしてガラス全体が粉々に粉砕されるという特徴を持っています。


最新の画像もっと見る