私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

大本営発令と変わらぬ現代企業の指示文書

2010-06-02 | コラム
 ビジネス文書のことで、かつて繰り返し感じ続けて来たことを記して見たいと思います。ここで云うビジネス文書とは、本社など上層部から下部組織へ下達される、例えて見れば大本営発令のことです。かつての旧軍・大本営も、そのデタラメぶりは凄まじいものがあった様に聞きますが、近代企業における大本営も負けず劣らずのものを保持し続けている様に感じることがあります。
 この様な上位下達の文書の多くの文例パターンは、現状を分析し問題点を指摘するなど理由付けし、次の結論としての指示・命令の前提とするための文言として、「現状は・・・であり問題である。」と決めつけるものが文書中盤までに記されます。しかし、この文書を読む私には、この段階で「違うだろう」、「嘘だろう」、「ぬけぬけと良く云うよ」などと呆れたという思いを持ってしまう、つまり理由付けが腹に落ちないものが8割方ではなかったという思いを感じ続けました。つまり、前提条件が狂っているがために、引き続く結論としての指示・命令としての「であるから・・・とする。」や「ついては・・・されたい。」などの文章が、まったく意味のない反発を感じるだけのものとなっていることは結構あることではないでしょうか。
 この様な理由付けとその結論のデタラメさが何故に生じるのかということですが、これは文書作成者たる参謀の能力不足を示すものが主要因と思っています。小奴ら参謀の中には、まずは結論ありきで、そのための理由付けとしての現状分析を、ある意味捏造とまでは行かなくとも都合の良い様に曲解して付加しただけの者も多くいるものと感じます。従って、真の現状分析と問題把握が行われ、種々の周辺状況を考慮した上で戦略立案がなされているのか、甚だ疑問であろうというのが私の思いでもあります。
 また、私の体験上の話となります。私は、過去において本社に所属しており末端参謀の端くれとして、この様な指示文書を多く発信してきた経験を持ちます。そんなことから、本社を離れた以後も、本社文書の文体を見れは作成者が大体は推察できました。例えば「この文書作成者Tだな、小奴は昔から文章が下手糞だったけど相変わらず成長がない奴だ。こんな、論理矛盾した文書付くって頭の悪い奴だ。」などと思ってしまう訳です。末端の兵隊たる私としては、この様な下らない文書を読むと。非常に悔しくなるのです。しかし、結論としての指示に逆らう訳には行かないのは、軍隊でも企業でも同様のことです。
 しかし、この様な文書の下命を受け、例え疑問は感じても何も云わずに従うだけ、もしくはうわべだけ従う振りをする者が多いと感じます。この様な者は、前々から何度も記している家畜(社畜)タイプの従業員であって、私には到底受け入れられない方との思いを持ちます。と云うことで、私は特に戦略の誤りを強く感じる文書については、機会を見てある程度問い質すことにしてきました。その様な機会として、本社参謀も参加する出来るだけ聴衆が多い会議の場が最適と思います。この様な会議内で機会を捉え、本社指示文書に内在される矛盾について、「ちょっとおたずねしたいと思うんですけど説明戴けますか?」という様に問い掛けます。この様な質問と回答のやり取りを群衆の中でして行くと、回答する参謀共の最終的な物言いは「それは現場の意見として承って次年度以降の改訂で考えたい」などとなることが多くあります。しかし、今まで次年度以降に改訂されたことど極めて少なく、これは官僚とか政治家とまったく類似の対応で、現場末端を馬鹿にした対応なのだと感じます。ここまで読んで来てくれた方で、何を云っても云うだけムダと思う方も居るのかもしれません。しかし、云わなければ何も変わらないし、行き過ぎた問題は是正されて行く自浄作用が、軍隊ではない民間企業には必要なことだろうと思うのです。



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