法律用語の解説

法律用語の解説
　ここでは一般犯罪でも適用されるが、交通事故の損害賠償で時々聞かれる訴訟用語で判り難いものを幾つか解説したい。

➀相当因果関係
　因果関係とは行為（原因）と結果の間の関係を云うが、「風邪が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがあるが、何段階もの因果関係の連鎖を法律では許すものではない。
　法律用語で、原因から結果が発生するまでの流れが社会通念上相当とみられる関係のことを相当因果関係と呼んでいる。
　具体例で記せば、商用車の事故で、車両が使用できなくなった場合の代替車の必用は認められその損害は認容されるが、その事故である契約が不成立になったからと云って、その契約不成立による損失までは認められる場合は極めて少ない。これは、そもそも契約といういう行為が、必ずしも事故だけでなく、さまざまな要因で成立もしくは不成立になることは一般社会通念上あり得ることであり、それがそもそもその業に根源的に内在するリスクそものものだと解されることによる。

②信頼の原則
　注意義務に関する法理の一つだが、行為者がある行為をなす際に、被害者または第三者が適切な行動を行うことを信頼できる場合、それによって生じた損害について、行為者は一切の責任を取る必要はない、という原則のことである。
　交通事故では、青信号で進行する行為者には、相手が赤信号を無視してまで侵入して来ることを予測まで求められないという事例がある。

③道交法第70条（安全運転義務）
　車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。このことは、多くの交通事故にいて、事故が生じたことを持って、安全運転義務違反が何らかあったという意見を生じさせることになる。

④緊急避難
　急避難とは、「自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為」であって、「これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合」をいいます。 この緊急避難が成立すると、処罰されることがなくなります。
　交通事故の具体例としては、対向の大型車がセンターラインオーバーしてきた場合、とっさに左側方に非常処置した場合であって、左側方の運転者が死亡したとすると、正に大型車と衝突することで自己の死を予見したて行った行為であって緊急避難がミトメラル場合があり得る。なお、この場合、緊急避難を至らしめるに当たった大型車に、死亡した運転者を死に至らしめた責任が生じる。

⑤被害者自身が危険を引き受けていたと認められる場合
　交通事故の中には、運転者の過失により事故が起きたのだが、その車両の同乗者である被害者自身が、その事故の危険を予め引き受けていたと判断される場合に、運転者無罪を言い渡した判例がある。
　この実例としては、競技中の車両で、運転者は未だ未熟な運転者であって、事故の結果死亡した助手席登場の者は、競技のベテラン運転者であり、運転者に対し適切な助言を諭す立場であり、しかも競技走行するにするについて、その危険を自覚していたと判断された事例だろう。

⑥特別損害
　特別損害とは、民法第416条・第2項が定める「特別な事情によって生じた損害」のことです。債務不履行によって通常起こると考えられる範囲外の損害だ。この損害が認められるかどうかは、当事者（債務者）が予見すべきであったときに生じた損害かどうかが一つの目安になる様だ。
　具体例として、ある中古車の賠償案件で、通常の時価判断であれば200万だが、既に300万の車両販売契約がなされていた場合、300万を賠償請求するのは通常予見可能性がないとして認められず、200万円が妥当な損害額として認容なされる事例がある。

＃交通事故(事件）の法令用語