前回に続いて、今回は対物賠償事故で、必ずしも多くはないが、評価損害が問題にされる案件について種々考察してみたい。
2.評価損害の裁判例
評価損害の裁判例が膨大にある訳ではないが、過去からの裁判例を概観すると、主には修理費を基準として、その10~30%(中には50%のケースもある)を認めている場合がある。この評価損を認容した場合に、争いのない時価額を超える場合は、賠償総額としては時価額が限度になるのだろう。
3.中古車の店頭表示例と評価査定
中古車の下取りとか買い取りの査定というものが、一般財団法人日本中古自動車検査協会というところが認定する「中古車査定士」という資格により行われている。この資格の受験資格は中古車販売・整備の実務経験が半年以上であること、協会所定の研修を受講した者であること(5~6時間)という様な内容の様だ。中古車査定の内容としては、車両外観の凹みや傷、塗装の痛みや、内装などの欠点などを観察しつつ、それを年式に応じた標準状態に戻す費用を減算することで行うことと、それと走行距離が年式に応じた標準値から超過していないか等を基に、中古車価格を査定すること。また、いわゆる修復歴車の見分け方を習得させている様に見受けられる。
なお、ここでいう修復歴車とは、車両外観など目立つ損傷があるという個別減点とは別で、対象車の主に車体骨格に相当する溶接部品に損傷痕や取替たと判断できるものを対象としてる。つまり、もう少し具体的に記せば、新車状態を保つ中古車なら、溶接部品はスポット溶接されているが、そのスポット溶接痕が新車の状態とは異なること。また、フロントであれば、サイドフレームやフェンダーエプロン(インナーフェンダー)などの継ぎ目には、防錆のためにシーラー塗布がなされているが、新車の塗布形状と異なるとか、左右対比で異なるとか云う場合に、それら対象部品が修復もしくは取り替えられたと判断している様に見受ける。参考図として付した添付1を参照してもらいたいが、これら部品が修復歴の対象となる部位である。だから、ボルトで車体に取り付けられるフード、ドア、サスペンション、ホイールなどは、幾ら取り替えてあることが判ったり、事故現状車で取替が必用と判断されても修復歴とは関係ないこととなる。
中古車オークションなどでは、中古車の程度をA、B、Cだとか数値である程度ランク付けしている場合が多いが、ここでいわゆる修復歴車となると、特定の記号RだとかXだとかが付され、その他の評価は一切無視される場合が多い様だ。
なお、若干補足しておきたいが、中古車査定士なる資格は、業界内資格であるし、受験資格も半年以上の販売もしくは整備経験で、所定研修も1日の研修で受験資格が得られると聞くと、さほど自動車工学などに精通していなくても、さほど取得難易度が高い試験であるとは思えない。
ここでは、自動車公正取引協議会が、中古車を展示販売する場合に、ルールとして定めた表示プレートの事例を添付2として付す。この通り、修復歴は有・無が明示なされる。
ただ、これは私見であるが、私の場合特に輸入車の買取査定などで感じたことだが、指摘する該当部位は事故修復なされていないのだが、事故車と判断され(もしくは疑いの発現を聞く)ということは何度かあった。一方、これは修復業社(板金業)の技量の善し悪しだとか、そもそも別の事故車からカットパーツを切り出して、正規の継ぎ手部位でない部分で取り替えているなど、修復歴車とされている部位を取り替えているのを発見するのは甚だ困難だと思える。
2.評価損害の裁判例
評価損害の裁判例が膨大にある訳ではないが、過去からの裁判例を概観すると、主には修理費を基準として、その10~30%(中には50%のケースもある)を認めている場合がある。この評価損を認容した場合に、争いのない時価額を超える場合は、賠償総額としては時価額が限度になるのだろう。
3.中古車の店頭表示例と評価査定
中古車の下取りとか買い取りの査定というものが、一般財団法人日本中古自動車検査協会というところが認定する「中古車査定士」という資格により行われている。この資格の受験資格は中古車販売・整備の実務経験が半年以上であること、協会所定の研修を受講した者であること(5~6時間)という様な内容の様だ。中古車査定の内容としては、車両外観の凹みや傷、塗装の痛みや、内装などの欠点などを観察しつつ、それを年式に応じた標準状態に戻す費用を減算することで行うことと、それと走行距離が年式に応じた標準値から超過していないか等を基に、中古車価格を査定すること。また、いわゆる修復歴車の見分け方を習得させている様に見受けられる。
なお、ここでいう修復歴車とは、車両外観など目立つ損傷があるという個別減点とは別で、対象車の主に車体骨格に相当する溶接部品に損傷痕や取替たと判断できるものを対象としてる。つまり、もう少し具体的に記せば、新車状態を保つ中古車なら、溶接部品はスポット溶接されているが、そのスポット溶接痕が新車の状態とは異なること。また、フロントであれば、サイドフレームやフェンダーエプロン(インナーフェンダー)などの継ぎ目には、防錆のためにシーラー塗布がなされているが、新車の塗布形状と異なるとか、左右対比で異なるとか云う場合に、それら対象部品が修復もしくは取り替えられたと判断している様に見受ける。参考図として付した添付1を参照してもらいたいが、これら部品が修復歴の対象となる部位である。だから、ボルトで車体に取り付けられるフード、ドア、サスペンション、ホイールなどは、幾ら取り替えてあることが判ったり、事故現状車で取替が必用と判断されても修復歴とは関係ないこととなる。
中古車オークションなどでは、中古車の程度をA、B、Cだとか数値である程度ランク付けしている場合が多いが、ここでいわゆる修復歴車となると、特定の記号RだとかXだとかが付され、その他の評価は一切無視される場合が多い様だ。
なお、若干補足しておきたいが、中古車査定士なる資格は、業界内資格であるし、受験資格も半年以上の販売もしくは整備経験で、所定研修も1日の研修で受験資格が得られると聞くと、さほど自動車工学などに精通していなくても、さほど取得難易度が高い試験であるとは思えない。
ここでは、自動車公正取引協議会が、中古車を展示販売する場合に、ルールとして定めた表示プレートの事例を添付2として付す。この通り、修復歴は有・無が明示なされる。
ただ、これは私見であるが、私の場合特に輸入車の買取査定などで感じたことだが、指摘する該当部位は事故修復なされていないのだが、事故車と判断され(もしくは疑いの発現を聞く)ということは何度かあった。一方、これは修復業社(板金業)の技量の善し悪しだとか、そもそも別の事故車からカットパーツを切り出して、正規の継ぎ手部位でない部分で取り替えているなど、修復歴車とされている部位を取り替えているのを発見するのは甚だ困難だと思える。