私の思いと技術的覚え書き

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クルマと振動のこと

2010-06-05 | 技術系情報

 今回はクルマと振動のことを、つれづれなるままに記して見たいと思います。
 クルマを評価する要素の一つとして、NVHと呼ばれるものがあります。ノイズ、バイブレーション、ハーシュネスのことですが、ノイズは騒音のこと、バイブレーションは振動のこと、ハーシュネスとは道路の継ぎ目などの単発的な段差を乗り越えた際の防振性のことを指します。と云うことで、今回はバイブレーションのことを中心に記して見ます。
 話が若干逸れますが、大空を高速で飛び廻る航空機にあっては、振動に関わる問題とその対策はクルマ以上に留意がなされるそうです。航空機の振動はフラッターと呼ばれますが、翼本体や可動翼の剛性が低すぎるなどのことに起因し、高速飛翔時に揺らぐ様に振動することで生じるのが原因となる様です。そして、強いフラッターの発生は、航空機そのものを分解させ墜落に至る危険なものとして、十分な対策が取られるとのことです。一方、クルマの振動ですが、個別局所的には多種類があると思いますが、主要なものとしてシェイクとシミーに分けられると思います。
 まず、シェイクと呼ばれるボデー振動ですが、これはドライバーから見るとクルマのフロントボデー全体が上下に振動する様に感じられることから、フロントボデーシェイクと呼ばれます。この原因は、回転体の振れやアンバランスが振動強制力となっているもので、主にフロントタイヤ&ホイールセットの縦・横振れ過大、タイヤのユニフォミニティ不良(剛性不均一)、タイヤ&ホイールセットとしてのバランシング不良に限定されてしまうと云って良いと思われます。これは、回転体のアンバランスという面では、クルマ全体ではエンジンのクランクシャフトから始まって、フライホイール、トランスミッションギヤ、デフギヤ、ドライブシャフト、ハブなどの各種回転体がありますが、これらは製造時に十分なバランシングの検査と修正が行われており、使用過程においてバランシングの変化が生じる余地がほとんどないことによります。(ハブなどは事故で振れが生じる場合はあり得ます。)
 次ぎにシミーと呼ばれるステアリングの周方向の振動ですが、これはタイヤ&ホイールセットとしての横振れおよびバランシング不良に限定されると云って良いと思います。なお、ステアリングが周方向でなく上下に振動するのは、フロントボデーシェイクに分類される現象となります。このシミーですが、これは経験上の話となりますが、80km/h前後が生じ易い速度となろうかと思います。そして、加速して行くと100~120km/hでシミーの振動は軽減し、更に加速し140km/hに至ると、今度はシミーと云うより強いフロントボデーシェイクを感じるという具合に、結構相関があることを体験します。
 クルマのシェイクやシミーと云った振動では、航空機のフラッターの様に、即空中分解に繋がるまでの危険はないと云えます。しかし、強烈な振動はドライバーやパッセンジャーを不安にし、その速度での運行を継続しようとする気持を萎えさせてしまいます。


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