私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

日産自(スバル含む)の完成検査問題(その6)

2017-11-06 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 報道の中には、今回の完成検査問題を不合理な古い法律をアップデートして来なかった日本の体質に問題があるのであって、完成検査を行うことに意味はないとすら思える論評がある。確かに製造プラントでは各工程において、機械的もしくは目視的な検査が行われている訳であって、そこで問題が発覚すれば、直ちに手直しもしくは該当車をラインから外し、特別の補修行程に移行することなどが日常的に行われているのは確かだろう。

 しかし、私見としては、完成検査において、仮にほとんど異常が発見される確率は低くとも、自動車というコンプリート商品が成立した状態で、検査を行うことに意味があると考えるのだ。個別の作業工程で異常が見つからないから、それらを組み合わせたコンプリートたる完成車に異常はないと断言出来うるものではないと思う次第なのだ。

 法律では型式指定車においては、メーカー出荷前の状態で完成検査を行い完成検査証を発行することにより、国の検査場における新規登録の際、現車を持ちこむ必要がないという特典を与えられている。トラックなどに多いが、型式指定車でない場合は完成検査証はなく、従って新規検査において、現車を国の検査場に持ち込み国の検査官により検査を受けることになっている。

 こうしてみると、型式指定車において個別メーカー内において、一定の資格者を完成検査員として専任しという現行法令自体が、あまりにもあいまいで甘いものとすら思えてくる。これが、国が行う自動車検査員講習および終了試験に合格した者とか厳格なものであれば、そうそうメーカー側でも完成検査を軽く考え今回の様な問題は生じなかったと思えるのだ。

 なお、メーカーにおける最終検査は、保安基準の適合を確認するための完成検査と、外観のドアチリだとか傷、凹凸、塗装の欠陥、雨漏れなど商品性検査が行われるが、作業能率上からある意味混在して行われていると想像される。このことが、完成検査員と商品検査員との分担があいまいになっている一因ではなかろうかと想像するのである。こうして考えると、完成検査ラインと商品検査ラインは完全に区分けし、まずは商品検査を行い、その後に独立した完成検査を行うという体制が必要なのではないかと思えてくるのだ。

 国交省は今回の自体を受けて検査体制を見直す予定と報じられているが、果たしてどう見直すのか、関心を持つところだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。