相当な旧車でない限り、エンジン冷却用ラジエータにはサブタンクが付帯して装備されている。何れにせよ現代車ではラジエータキャップの加圧弁により冷却水温の上昇と共に加圧力も上昇して水の沸騰温100℃を上回ることが可能となっている。
そこで、国産車の多くに使用される開放型ではラジエータキャップの開弁圧に達した冷却水はオーバーフローしてサブタンクに溜められる。そしてエンジン停止後に冷えると、冷却水が熱収縮して同じくキャップに装備の吸入弁を開いてラジエーター側に吸い戻されるという原理だ。なお、サブタンクには、タンク内が加圧もしくは減圧により冷却水の移動を妨げない様に大気解放の短いホースが付けられている。
もう一つの密閉型は国産車でも一部あるが、多くの欧州車に使用されている方式だ。サブタンク下部はエンジンとやや太いホースで直結しており、さらに上部に細いホースでラジエータ付近と直結している構造で、ラジエータキャップは、このサブタンクに付く場合が多い。タンクの材質は先の開放式と同様に樹脂だが、その材質や肉厚が異なる。それは、サブタンクに常にエンジン内部の冷却水と同じ温度と圧力が加わるからだ。
この密閉式(当方は加圧式サブタンクと勝手に呼称している)であるが、BMW(ミニ含む)など多くの欧州車のウィークポイントの一つとなっている。つまり絶えず高温の冷却水で加圧された結果、経年による樹脂の脆化や溶着接合部の亀裂などで冷却水漏れを起こすことが多いのだ。初代BMWミニ(R50)だと、ノーマルエンジンが開放型(キャップはラジエータ本体には付かずサーモハウジング上部に付くが、オーバーフローの冷却水はそこからサブタンクに戻される)だ。しかし、R53(クーパーS)となると、密閉型となりラジエータキャップはサブタンク上部に付く。このR53型のサブタンク破損は多発している様で、自己体験もしたが、その内容を記してみる。走行中エンジンの冷却水音の上昇と共に、ヒーター付近から結構大きな流動音らしき異音が聞こえ、ヒーターコアにエアでも噛んでいるのかと疑った。しかし、ボンネットを開けてサブタンクを観察して見れば、サブタンクは上下を中央付近で水平分割したパーツを溶着して製造している様だが、この溶着部付近から、冷却水がブシューと噴き出して発音していたというものだ。
この密閉式を何故欧州車が使うのか、そのメリットは何かと考えた時、第一番は冷却水(LLC)が大気に触れることがなくなる。つまりLLCの劣化が少なくできるという辺りなのだろう。副次的に、常にサブタンクにも冷却水を循環させており、冷却水総量を増やすことで熱容量を増やせるとかあるのだろうが僅かなものだろう。何れにしても現代車のエンジンルームは、今回のラジエータ関係以外にもヘッドカバー、インマニなど樹脂多用が進んでいるが、コスト低減、軽量化、放射音の軽減と理由はそれぞれあるだろうが、安普請の感は否めない。特に熱と加圧を受けるラジエータタンクとかサブタンク(解放式は圧力ゼロなので心配ない)は要注意部品である。
※写真は15年程経過の日野大型バスのエンジンルームであるが、上部にサブタンクの底部が見えるが密閉式であり、ラジエータキャップはタンク上部に付く。タンクは肉厚で経年により透明度が失われ外部から水位を点検することも不可能となっている。何時破裂することやらと、警戒していたがその他不具合多発から使用を止めることになり安堵した。
そこで、国産車の多くに使用される開放型ではラジエータキャップの開弁圧に達した冷却水はオーバーフローしてサブタンクに溜められる。そしてエンジン停止後に冷えると、冷却水が熱収縮して同じくキャップに装備の吸入弁を開いてラジエーター側に吸い戻されるという原理だ。なお、サブタンクには、タンク内が加圧もしくは減圧により冷却水の移動を妨げない様に大気解放の短いホースが付けられている。
もう一つの密閉型は国産車でも一部あるが、多くの欧州車に使用されている方式だ。サブタンク下部はエンジンとやや太いホースで直結しており、さらに上部に細いホースでラジエータ付近と直結している構造で、ラジエータキャップは、このサブタンクに付く場合が多い。タンクの材質は先の開放式と同様に樹脂だが、その材質や肉厚が異なる。それは、サブタンクに常にエンジン内部の冷却水と同じ温度と圧力が加わるからだ。
この密閉式(当方は加圧式サブタンクと勝手に呼称している)であるが、BMW(ミニ含む)など多くの欧州車のウィークポイントの一つとなっている。つまり絶えず高温の冷却水で加圧された結果、経年による樹脂の脆化や溶着接合部の亀裂などで冷却水漏れを起こすことが多いのだ。初代BMWミニ(R50)だと、ノーマルエンジンが開放型(キャップはラジエータ本体には付かずサーモハウジング上部に付くが、オーバーフローの冷却水はそこからサブタンクに戻される)だ。しかし、R53(クーパーS)となると、密閉型となりラジエータキャップはサブタンク上部に付く。このR53型のサブタンク破損は多発している様で、自己体験もしたが、その内容を記してみる。走行中エンジンの冷却水音の上昇と共に、ヒーター付近から結構大きな流動音らしき異音が聞こえ、ヒーターコアにエアでも噛んでいるのかと疑った。しかし、ボンネットを開けてサブタンクを観察して見れば、サブタンクは上下を中央付近で水平分割したパーツを溶着して製造している様だが、この溶着部付近から、冷却水がブシューと噴き出して発音していたというものだ。
この密閉式を何故欧州車が使うのか、そのメリットは何かと考えた時、第一番は冷却水(LLC)が大気に触れることがなくなる。つまりLLCの劣化が少なくできるという辺りなのだろう。副次的に、常にサブタンクにも冷却水を循環させており、冷却水総量を増やすことで熱容量を増やせるとかあるのだろうが僅かなものだろう。何れにしても現代車のエンジンルームは、今回のラジエータ関係以外にもヘッドカバー、インマニなど樹脂多用が進んでいるが、コスト低減、軽量化、放射音の軽減と理由はそれぞれあるだろうが、安普請の感は否めない。特に熱と加圧を受けるラジエータタンクとかサブタンク(解放式は圧力ゼロなので心配ない)は要注意部品である。
※写真は15年程経過の日野大型バスのエンジンルームであるが、上部にサブタンクの底部が見えるが密閉式であり、ラジエータキャップはタンク上部に付く。タンクは肉厚で経年により透明度が失われ外部から水位を点検することも不可能となっている。何時破裂することやらと、警戒していたがその他不具合多発から使用を止めることになり安堵した。