私の思いと技術的覚え書き

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リベット接合のこと(追記)

2011-02-16 | 技術系情報
 先日、艦首切断の事件から、鋲接(リベット接合)のことを記し、現在はその使用が少なくなりつつある接合技術であることなどを記しました。そんな、現在ですが、極少量ですが使われているクルマと箇所がありますので、追記として記してみます。
 まず、比較的欧州車に多いと思われますが、スチールモノコックを基本として、従来の溶接組み立ての一部スチールパネルをアルミに置き換えた場合にリベット接合が使われます。この置き換えられる一部パネルですが、従来からのボルトオンパネル(いわゆる蓋物と呼ばれる外板)であれば、従来同様のボルトオンで済みますが、リヤフェンダーやバックパネルなど、従来溶接で取り付けられている部位ですと、抵抗スポット溶接は不可能となり、リベット接合により結合されている訳です。なお、この場合、リベットだけに応力を負担させている訳でなく、構造用接着剤(エポキシ樹脂接着剤)との併用がなされています。
 具体例としては、ベンツCLシリーズの左右リヤフェンダとバックパネルとか、Sクラス(221)のバックパネル、アウディTT(新型)の左右リヤフェンダーなどでしょうか。また、BMW車では旧5シリーズ(E60)でダッシュパネルより前部の骨格すべてをアルミ製とし、スチール製のダッシュパネルとはリベットと接着剤による接合としました。しかし、余りにも修理性が悪いことなどを見直したのか、新型ではボルトオンパーツ以外はコンベンショナルなスチールモノコックに戻されています。
 この様な積極的なアルミ外板パーツの採用ですが、溶接部位への採用は、製造コストの大幅な上昇、修理作業性と修理コストの悪化、電蝕へのリスクなど、軽量化として得られるメリットに比べ、デメリットが多い様に思えます。アルミ外板パーツの採用は、ボルトオンの蓋物パーツに限るのではないでしょうか。
 クルマ以外として、航空機における鋲接について、若干記してみます。
 航空機の特に胴体の部分ですが、前後と貫通するフレームはなく、ストリンガーという胴体の断面を形取った様な補助フレームを、ある程度の間隔で配し、このストリンガーを巻く様に外板たるアルミ合金板をリベット接合により結合して立体化させた、真のモノコック構造となっています。
 ところで、第2次大戦はプロペラ機の時代でしたが、航空機の技術は劇的に進歩し、その速度は向上し続けました。その様な中、より空気抵抗の少ないリベットとして枕頭鋲という外面に接する部分が半球でなく平らなリベット(ネジで云う皿ネジと類似形状)が採用され、空力的にも優れた滑らかな機体外観となったのです。


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