知ったかぶりのたわいもない雑記として記します。
クルマのボデーで良く呼ばれるモノコック(Monocoque)という名称があります。元々の語源はギリシャ語で一つを表すmonoと、フランス語で貝殻という意味のcoqueを合わせた合成語だそうです。日本語に直訳すると応力外皮構造となるそうで、その物体に生じる応力を外皮で受け止める構造となります。良く卵の殻の話が出ますが、この様な薄い殻でも結構な応力に耐えることが出来ます。しかも内部に応力を受けるフレームを持たないので、軽く作ることができる構造と云うわけです。このモノコック構造は、元来は航空機で開発されたものです。しかし、クルマ(乗用車)の様に開口部の大きな物体では、純粋なモノコック構造と云うのは不可能です。ですから、現在モノコックと呼んでいるのは、従来トラック同様のフレーム構造であったのを、単に一体化したことを持って呼んでいるに過ぎないのが実態なのです。正式には米国でのユニタイズドボデーと呼ぶのが正しい呼称なのだと思います。(もしくはビルトインフレーム構造と呼ぶ場合もあります。)
但し、クルマのボデーにも外部パネルや部品に一部の応力を負担させている部分があります。ルーフパネルや、クォータパネル、フロアパネル等は、それなりに応力を負担しています。また、接着式のフロントやリヤのガラスにも、小さいでしょうがそれなりに応力は負担されている訳です。
しかし、現在のクルマでは、そのボデー構造の大部分に薄板の冷延圧延鋼板が使用され軽量化が図られています。なお、従来のフレームに代わり大きな応力を受け持つ部分は、ある程度の厚さを有した(といっても1.6mm程度が大半)箱状の形状を持ったメンバーもしくはピラー等で構成されています。クルマの前後方向に通るメンバーをサイドメンバーと呼び、その間を交差するものをクロスメンバーと呼んでいます。そして立状の部分はピラーです。前にクルマの剛性のことを記しましたが、現在のクルマでは衝突時の潰れ剛性を確保するべく、潰れの特性を制御したりして衝突時のピークGをなるべく平均化する設計が取り入れられています。そのために、メンバー部やピラー部内部を二重化させたり、サイドメンバー等に使われますがテーラードブランク材といい、異なる板厚を持った鋼板をレーザー溶接で一枚化させた後、一体でプレス成形した部材も使用される様になって来ています。
また、静粛性や操縦安定性を高めるべく、ボデー剛性(曲げおよび捻れ)自体を高めるための設計も取り入れられて来ています。しかも、車体剛性にあまり関係のない外板パネル等は薄くなっている傾向(現状0.8程度ですが軽等はもっと薄い場合もあり)があります。しかも、薄くても面としての張り剛性(耐デント性)を確保するために、従来の普通鋼板より耐デント性を高めた高張力鋼板(といってもフレーム部材の様な高い引っ張り強度のあるものはプレス成形性が悪化しますから使用されていません)が使用されています。
何れにしても、事故によるこれらクルマの車体を復元する難易度は上がって来ているというのが実態と感じられます。
追記
この3連休は新パソコンの組立とセットアップで殆ど潰れました。まだ、若干は作業が残っていますが、このブログを書ける状態にはなりました。4年ぶりに新パソコンに更新させましたが、やはり技術の進歩はすごいものです。速度というかレスポンスが相当に早く感じられます。
※11月17日に記した技能五輪(その2)の各写真に独断と偏見のコメントを記しました。興味のある方は、是非見直して見て下さればと思います。なお、若干ですが鈑金塗装工場のことを非難することも書いておりますがお許し下さい。なんといっても独断と偏見の私ですから。