私の思いと技術的覚え書き

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損保の損害額認定と契約者の不審という笑えない話し

2023-05-31 | 問題提起
損保の損害額認定と契約者の不審という笑えない話し
 これは、最近ある修理工場から聞いた話しだが、決してあってはならない深刻な問題を含む内容を含んでいるので、書き留めておきたい。

 ことは、ある修理板金工場で修理完成後の後日、その車両の所有者(保険契約者と考えて良いだろう)から、支払い修理費の見積で取替となっているタイヤが、交換されていないがどういう訳だと、その該当工場は扱い損保から苦情を呈されたと云うところから始まる。一般に車両所有者とか契約者は、保険で支払われて車両が直る前提で、その修理見積の個別内容を気にする方は少ないし、そもそも保険会社は支払い金額は報じるが、修理内容までを報じるケースは少ない。ただ、今回の場合は気にする方で、おそらく保険会社に支払保険金の明細として修理費見積の提示を要請したのであろう。この要請が合った場合、保険会社としては断ることはできないはずだ。そこで、保険会社としての支払い明細となる見積書にはタイヤ交換として記されているが、実際の修理現車は交換されていないが、どうなっているのだと不審の問い合わせを受けたのだろうが当然だろう。そこで、取り扱い保険会社は、修理実施工場にどうなっているのかと不審の思いで問い合わせがあったと云うことなのだ。

 ところが、修理実施工場では、保険会社に提出した見積書で、タイヤ交換など計上していないであって、その様な不審のおたずねを受けるいわれはないと逆に扱い損保にどうなっているんだと質したと云う。

 ここまでの話しをすべて事実として確認した訳ではないが、仮に総て事実としてあったのなら、その担当調査員(アジャスターと呼ばれる)の本件事故損害調査報告書(レポートと呼ばれる)に添えられた損害見積書はそのアジャスター自身が作成した見積書(これを自己見積書と称する)だけであって、工場見積書の添付はなく、タイヤについてもレポート内になんら注釈などの意見もなかったのだろうと解されるところだ。業界通として云わせてもらえば、そのアジャスターは工場見積に何らか許容しかねる項目なり計上があり、本来ならそこを突き詰めるべきを、単に自己見積の作成により数字合わせしてレポートを作成したため、実修理内容で取替された部品と損保として認めた取替部品の差異が生じているということになるのだろう。

 私こと10年程前まで損保調査員(アジャスター職)だったが、この20年を超す損保調査員勤務の中で、半分を超える期間が、調査員の研修だとか、調査報告書(レポート)の審査とか評価という業務を担って来た。そういう訳で、調査員として修理工場見積を見る機会も多かったのだが、調査員の作る見積もしくはレポートとして見てきた数も数多い。

 そんな中で思うのだが、修理工場見積として、問題点を感じて是正を迫ることもあるのだが、調査員のレポートや調査員の作る見積(これを業界では自己見積と称している)への問題点を指摘せざるを得ない場合も多々あった。

 一方、損保業界の教育思考として、何が何でも自己見積の作成を重点項目として、アジャスターに追求する損保社もあることは意識してきた。これは、いち早く自己見積を工場見積に先んじて提示することで、工場を牽制したり、自己見積ベースの交渉を進めることで、例えそれが変動したとしても、何もせず工場見積の提出を待ち、そこから是正交渉をした場合より、料金が適正化(あくまで損保側の立場として)できるだろうと云う思考が根底にあったと思える。

 こういうことを前提にして、私がアジャスター職の立場で、工場見積およびアジャスター見積(レポート)を点検する場合、希に今回と同様の事態が予見される事案というのも希にあったのだが、これはアジャスターの多くがと云うより、属人的なアジャスターの良識が欠落している場合だろうと判断している。こういう事案では、該当アジャスターは、自己見積と工場見積の差異を判らなくするするため、あえて工場見積の並列添付を行わない。

 私は、アジャスターの作るレポートは必ず自己見積を付けろとか、その場合に工場見積があるのなら、並列添付しろとか、何でもかんでも堅苦しい規則を作る方が良いなんて思いはまったくない。ただし、実修理して交換部品が明確となる場合にあっては、少なくとも交換部品と実作業の一致として、特に機能部品とか半製品でなく無施行で素人にも交換したかどうか判る部品の差異を露呈させるアジャスターの知恵足らずには呆れ代える他ないのだ。修理工場が類似のことを行った場合は、ある意味詐欺的行為として、糾弾する場合もあり得るが、アジャスターの立場でそれが行われた場合も、同様に詐欺的行為であることは同位であろう。


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