私の思いと技術的覚え書き

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アジャスターが行う賠償交渉のこと(その1)

2008-11-19 | 賠償交渉事例の記録
 ここでは、後輩アジャスターに向けてアジャスターが行う賠償交渉において、私が24年間における活動で体験した種々の事々を書き示して行きたいと思います。そんな訳で、この記事は(アジャスターとしての)技術情報のジャンルとした次第です。

 第1回目の今回はアジャスターの支払い権限に関わる問題として記してみます。
 アジャスターには、保険金の支払い権限はなく、その価格決定権もなく、その委ねられた業務範囲としては、依頼を受けた案件に関わり正しいと判断されうる保険の疑義性の真偽や、損害額等を親保険会社への報告することにあるとことは周知の通りです。こんな中、後輩の中には「アジャスターには権限がないから・・・出来ないんだ」なんて発言を聞くことがあります。

 一方、現実に私は24年間の活動において、私が正しいと報告した損害額について、更に何らかの相手方からの要求によって加算されて支払われたことはありますが、私の報告額を下回った損害額とされた経験は一切ありません。但し、保険の疑義性については、私が明らかに疑義が明白であると報告した案件(これは単なる疑義というレベルでなく訴訟などで十分立証出来うるものを含む)で、支払われた案件は5件位あるでしょうか。これは私の認識での件数ですから、私に隠し支払った案件は、もう少しあるのかもしれませんが。(親会社にも色々都合もあるのでしょう)

 ここで何が云いたいのかと云うことですが、最初に記した通りアジャスターには、価格決定権はないのですが、実質的にはあるに等しいと云うことなのです。

 さて、昨今は損害調査会社も幾らかは会社の呈をなして来た様で、中にはアジャスター管理者から「こんな金額何故認めたんだ。取り消し再協定して来い」なんて、宣う偉そうな者がいるし、云われたという方もいるのかもしれません。このこと自体は、私も長年アジャスターの管理職をやって来ましたから、中にはその様な発言を云いたい局面はありました。ですから、その様な発言を云う管理者の気持ちはある程度理解されます。しかし、私は既に協定してしまった案件については、そこまでの発言を行うことは出来ませんでした。

 但し、私の場合「問題点が内在していたとすれば何故協定する前に報告をしなかったのか」ということは強く要求しました。また、絶えず案件を把握しようと努め、担当アジャスターの力量がないと見るや、その前面に飛び出して自らが薙ぎ倒してしまうということが多くあったと思います。これは、ある意味で管理者として失格のことであたっと後悔するところでもあります。ただ、言い訳じみて記せば、この様な解決もあるという現実を知ってもらいたいということと、究極として企業としての成果が求められざるを得ないとの思いも強いこと故でもあったのです。

 ちょっと話しが戻りますが、もし私が担当アジャスターで管理者から「再協定して来い」と云われた場合を仮定して記してみます。現実にその様な体験はありませんが、その場合は「判りました工場には今から直ちに協定取り消しの連絡を入れます。そして、私には力がないので、お連れしますので、ご一緒し、是非その様な協定を行う姿を見せて戴き勉強させて下さい」と答えるでしょう。



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