私の思いと技術的覚え書き

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大型車のブレーキ

2015-09-18 | 技術系情報
 中・大型車に乗ると、ブレーキペダルがアクセル様のオルガン式で、踏んで離すとプシューとエア放出音がし、エアブレーキだと思っている方が結構います。中には、トラクタの様なトレーラと連結をするタイプは純エアブレーキな訳ですが、どんなに大きくても単車(トレーラでないクルマ)では、ブレーキペダルからエアマスターまでがエアで、空気圧で倍力し、マスターシリンダーから各輪のホイールシリンダーまではブレーキフリュードの液圧でブレーキ作動を行っているのです。

 正式名称は空油圧複合ブレーキとかエアオーバーブレーキとか称しています。何故、純エアブレーキを使用しないのかといえば、液体は圧力変化により体積変化はほとんどしませんが、気体である空気は大きな体積変化を生じるからです。すなわち後輪など遠くに位置する車輪において、その作動遅れを生じるからと云うのが理由となります。なるべく作動遅れを防止するため、リレーバルブなどを設置している訳ですが、完全解消とまでは行かない様です。

 なお、セミおよびフルトレーラの場合は、純粋なエアブレーキがトラクタ側も含め装備されます。この手のトレーラは、連結と切り離しにおいて、単純にエアチャックを接続するだけで、エア抜きなど必用なく作動させることができるという利点があるのです。なお、切り離されたトレーラは、接続配管が開放されると、マキシブレーキ(スプリングブレーキ)が作動し、暴走事故を防ぐ構造となっています。

 レッカー屋さんで、エンジン故障のトレーラを連結したまま牽引する場合もある訳ですが、レッカー車にはマキシブレーキ解除用のエアチャックが装備されていますから牽引できる訳です。但し、被牽引車のブレーキまでが作動する訳ではないですから、場合によればレッカー車の2倍を超える様なクルマの牽引は、下り坂の左右コーナー等で、後方から押し出され、相当に身の危険を感じつつ行っているのではないでしょうか。

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