バニシング・ポイント(消失点)という映画がありました。大昔、テレビで見ましたが、ストーリーも大したことなく感極まるドラマもないこの映画のことが、何故か頭の隅に残り続ける映画であったと感じます。それは、私がクルマ好きで、全編を通じて爆走しまくるダッジ・チャレンジャーの勇姿が頭に焼き付いていたこともあるのでしょう。
このバニシングポイントは、同時期のイージーライ ダー等の映画を含んで、アメリカン・ニューシネマというジャンルとなりますが、何故か心惹かれる思いを持ちます。1970年前後は、アメリカは絶頂期を迎えていたはずです。クルマの世界でも、このダッジ社のチャレンジャーや映画ブリッドに登場するフォード社のマスタング・ファーストバックGT350や、GM社のポンティアック・トランザム等々、魅力あるアメ車が一杯ありました。これらのクルマ達のデザインは、当時の日本車のスタイリングに相当の影響を与えたことが伺われます。具体例を云えば、チャレンジャーのデザインは、スカイライン(いわゆるケンメリ)に影響を与えたと感じますし、マスタングのファーストバックは、セリカ・リフトバックに大きな影響を与えたと感じます。
しかし、絶頂期の1970年代以降のアメリカは、急速に力を落として行きました。アメリカン・ニューシネマの共通テーマは、反体制の人物を描き、個人の無力を示すが如くハッピーエンドでない作品が多いと云われます。云ってみれば、世の不条理や閉塞感を背景としているものとも感じます。これは、バブル崩壊以降から現在までの日本の姿と同様のことなのかもしれません。そんなことも含め、アメリカン・ニューシネマに再びの魅力を感じつつある様に思います。
追記
イージーライダーでピーターフォンダが乗っていた、急傾斜の長いフロントフォークとイーグルハンドルを持ったチョッパーという改造バイクですが、当時大いに流行しました。そして、当時事故が多く危険であるとして禁止されたはずのイーグルハンドルでしたが、昨今またまた改造装着しているバイクを見掛けることが多くなった様に感じます。禁止は解かれたのでしょうか。