私の思いと技術的覚え書き

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消え去ったアクティブサスペンションのこと

2008-11-23 | 車両修理関連

 一時は脚光を浴び、あっという間に消え去ってしまったクルマの革新的メカニズムにアクティブサスペンションというのがありました。これに関して、若干記して見たいと思います。

 クルマのサスペンションにおけるアクティブサスペンションですが、F1マシーンにおい登場したのが事始めだと思います。これは、グランドフェクト(地面効果)という、時速300キロ程で車速で、車両加重の2倍近いダウンフォース(下向きの力)を得られるボデー構造のことです。このボデー構造への変化に伴い、タイヤ接地加重の変化に対応してバネレート可変化させ、地上高を一定に保つという目的のための技術革新であったのがアクティブサスの主目的であったと想像しています。その後、スピン等の車両姿勢による接地加重の急激な変化で大事故の危険性が高いとして、F1マシーンにおける、グランドエフェクトもアクティブサスペンションも使用禁止になってしまいました。

 市販車でも、一時期アクティブサスペンションが、鳴り物入りで脚光を浴びた時期が20年近く前にありました。大容量の油圧ポンプにより、路面のアンジレーションに応じて、各車輪の作用する油圧を制御し、操縦安定性と乗り心地を改善するというものであった訳です。しかし、このアクティブサスを新登場させた、トヨタもニッサンも、1世代限りで継続販売することはなく、短命なメカニズムとなったものです。

 その理由としては、非常にコストを要し車両価格が高くなり過ぎることや、大容量油圧ポンプを常時駆動するための、出力ロスと燃費の悪化にあったのだろうと想像しています。

 このアクティブサス付き車は、私が自研センターに在籍していた頃に登場しましたが、当時シーマのアクティブサス付き車にコンサルト(専用テスター:現在のOBDスキャンテスターの走り)を接続し、テストして遊んで見たことがあります。1輪毎のアクティブテストを行うと、静止状態のクルマが素早く上下に動いて、当時凄いもんだなあと感じたことを思い出します。Haidorosus

 現在でも、古いアメ車に油圧ポンプを付けたハイドロ仕様なるクルマを乗り回している兄ちゃん達がいます。トランクを見ると、重そうなバッテリーがぎっしりと多数積んであり、油圧ポンプを動かしている様子が伺えます。これで、仲間と集まった際に、動作させるのを廻りに見せて楽しむことを目的としている様です。ですから、走りの性能アップとしての機能は、まったくありません。

 人それぞれですから、何とも云いいがたいですが、私には理解し難いものを感じます。

 添付した写真はその様なアメ車(キャデラックだったかな)ですが、大型バッテリーが合計12個+油圧ユニットが3個で推定重量200kg以上でしょう。

 おまけに外装塗装は「ラップ塗装」なる、ゴテゴテの塗膜肌を持ったムラだらけのものです。この塗装は、塗料塗布直後にサランラップを貼り付けて剥がして表現するとか云います。兄ちゃん達の価値観は、私の様な年寄りには到底判りません。




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