私の思いと技術的覚え書き

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明日への遺言(DVD)を鑑賞して

2008-08-10 | コラム

 先日、『明日への遺言』というDVDを鑑賞しました。原作は『ながい旅(大岡昇平:著)ですが、終戦直後に行われた戦争犯罪人裁判での実話を描くものです。主人公となる人物は岡田資(たすく)中将ですが、藤田まことさんが演じています。

 ストーリーは、大戦後のB級戦犯裁判において、墜落したB29搭乗員を裁判なしで処刑した罪で、岡田中将とその他の部下達が裁かれます。岡田中将は追求を受ける中、民間人を対象とした無差別爆撃であったとして、自らの判断の正当性を正々堂々と主張していきます。その上で、部下の責任をかばい、この判断が自らの責任に帰することを強く認めるのです。この崇高な精神は、弁護人はともかく対する検事や判事達までにも影響を与えて行きます。そして、あたかも岡田中将を弁護する返答を引き出すかの様な問い掛けすら導きますが、岡田中将の信念はぶれることはありません。そんな裁判も、判決は岡田中将の絞首刑として結審します。

 この映画ですが、岡田中将の高い知性と崇高な人間性に感銘を受けるのですが、戦勝国としての傲慢を内包した正義を持って裁く米国も、ここでの弁護人、検事、判事達は決て冷酷なだけでない人間性を持っていることが描き出されています。特に米人であるフェザーストン弁護人が、無差別爆撃を立証すべく論証を進める姿には、ある意味で米国の中の良心を強く感じます。何れにしても後味の良い、考えさせられる映画であろうというのが感想です。

追記

 検事役の俳優であるフレッド・マックイーンさんですが、私の愛するステーブ・マックイーンの息子さんです。鑑賞後にそのことを知りましたが、面影が強く伺えます。

追記2

 私が数年前に愛知県三河地方で業務をしていた頃、豊田市内の辺境で戦時中にB29が墜落した地のことを知り、その近くを通る度に訪ねたいなと思って過ごしました。結局、その地を訪ねることは出来ずじまいでしたが、私がその地を知ることとなったHPを以下にリンクしておきます。

追記3

 現在の私が置かれた状況と対比して思わざるを得ないのですが、解雇というのは給与所得者にとって、極刑に相当するものですが、何ら弁明の機会も与えられないということの無情を禁じ得ません。




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