木型屋、金型屋の違い、そしてエンジンカバーとの関係
これは、全国に我が町(沼津市)に限らずあるだろうが、まず一般消費者には縁遠い業種だが、金型屋というのが全国のある程度近くに工業製品を作っている大企業があれば付随して生まれて来る。つまり、金型とはおよそ鋼製であり、そこに設計図面に基づいた造形が反転処理されて掘り込まれたものだ。金型は、プレス用、ダイカスト用、樹脂の射出成形用、FRPやCFRPのSMCとかRTMとかいう製法でも使用される。つまり、金型の製造には、小さな製品でも100万、大きな製品では億のものまでもある様だが、これらを製造原価として償却して利益を出せるためには、大量生産のためということになる。
なお、金型を作るのにも使用されるが、スペシャル少量生産とかには、マシニングセンターとか、最近では3Dプリンターなども使われる場合もあるのだろうが、これは金型を1基作る原価は要しないが、製造時間(手間)が掛かりコストアップしてしまうので大量生産には向かない。
一方、木型だが別名で○○モデリングという名称で、それら業種が存在する。およそプラモデルのない時代だとか、現在でもあらゆる工業生産のスケールモデルを作る素材として、木型を使用することが昔から行われて来た。これは、個人の趣味から博物館の展示用途だけでなく、大量生産に先立って、図面を立体化させる(ダミーを作る)ことで、その形状や部品間の相互寸法だとか組付け性などの問題を確認するために使用されて来た。昔は、モノの大きさなどにもよるが、切削し易い比較的柔らかく、しかも緻密な繊維を持つ木質(ホオノキ材)などが使用されていたが、現在では樹脂ブロックが使用されており、それをマシニングなどのマシンで切削加工して金型の場合の反転したものでなく正立体物を作る場合が多い。また、大きなモノとなると、分割して作ったり、その一部分のみモデリングすると云うことを行っている様だ。
つまり、金型は大量生産の現場で反復使用なされて使用されるが、木型というのは大量生産以前の試作という段階で使用されるもので、金型ができてしまえば、用済みとなる製品なのだ。
ところが、金型は一部3Dプリンタなどで代用がなされている場合もあるだろうが、相当限定的なもので、マスプロダクションの現場では、ますますその数は増えていると推察できる。一方、木型というべきモデリングダミーは、まったく絶滅してしまった訳ではないが、昔よりその製造領域は狭まったと云えると知見している。これは、設計に3D・CADなどのコンピューターソフトが使用される様になり、立体物を画面内で視覚化させて、その寸法だとか形状、そして相互位置関係の問題などを確認できる様になったことがあると想像できる。また、試作段階で3Dプリンタで粗試作して、問題点を把握することもやっていると想像できる。
このことは、クルマのエンジンルームを見てみれば、理解し易いし想像ができると思う。現在のクルマは、エンジン上部を大型の樹脂製の飾りカバーが被っているクルマが多くなったが、それはこの試作が不要で、リードタイムというのを削減できるというメリットを与えたのだ。ただし、カバーを外せば、そこにはおよそ工業製品としての、美的な美しさとは縁遠い造作となってしまう点があると云うことなのだ。
特に、配管だとか配線の処理というのは、おおよそエンジン本体とか補機類の配置が決定してからそれに合わせて、平行だとか垂直だとかを念頭に置いた美的センスも考慮して造作が行われて来たのだが、カバーを付ける前提だと、これらは隠れると云う前提で配管だとか配線処理も、その相互間の長さとか、エンジンであればある程度揺動移動するが、それに際して余裕を持たせるとか、干渉しないとか、熱的影響を受けない寸法の確保など、見てくれはどうあれ、およそ機能上の問題チェックはコンピューター画面上でチェックできるという問題ということだ。
ここで、車両メーカーは、新規開発をスタートさせると、同時にティア1サプライヤーも同時に、基本エンジンやエンジンルームのCADデータを車両メーカーのネットワークサーバー経由で自由にダウンロードし、分担する部品の設計を3DCADデータとして車両メーカーのサーバーにアップロードする。ここで、組み合わせる部品同士の相互位置関係とか、組付け性とか取り外し性などを、車両メーカーや各サプライヤー間で情報共有しつつ、最終設計まで煮詰めていく。
従来だと、これらサプライヤーが木型なり試作品を車両メーカーに持ち寄り、配管と配線のサプライヤーもそこで、採寸したりして、製品仕様を煮詰めつつ再試作品を作ると云う何度も反復する動作を繰り返していて、相当に長いリードタイムを要していたのだが、現在では余程の場合は、限定的に木型ダミーや試作品を作る場合もあるだろうが、その機会は相当薄れているのではないかと想像する。
この思想を最初に取り入れたのは、日本であり、そしてトヨタであったが、瞬く間に全世界に広がったと受け止めている。
【関連過去記事】
醜いアヒルの子
2016-09-22 | 車両修理関連
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/b6a1e3c4b47fb895684d4a5db2a15bb5
#金型屋、木型屋、そしてエンジンカバーの関係
これは、全国に我が町(沼津市)に限らずあるだろうが、まず一般消費者には縁遠い業種だが、金型屋というのが全国のある程度近くに工業製品を作っている大企業があれば付随して生まれて来る。つまり、金型とはおよそ鋼製であり、そこに設計図面に基づいた造形が反転処理されて掘り込まれたものだ。金型は、プレス用、ダイカスト用、樹脂の射出成形用、FRPやCFRPのSMCとかRTMとかいう製法でも使用される。つまり、金型の製造には、小さな製品でも100万、大きな製品では億のものまでもある様だが、これらを製造原価として償却して利益を出せるためには、大量生産のためということになる。
なお、金型を作るのにも使用されるが、スペシャル少量生産とかには、マシニングセンターとか、最近では3Dプリンターなども使われる場合もあるのだろうが、これは金型を1基作る原価は要しないが、製造時間(手間)が掛かりコストアップしてしまうので大量生産には向かない。
一方、木型だが別名で○○モデリングという名称で、それら業種が存在する。およそプラモデルのない時代だとか、現在でもあらゆる工業生産のスケールモデルを作る素材として、木型を使用することが昔から行われて来た。これは、個人の趣味から博物館の展示用途だけでなく、大量生産に先立って、図面を立体化させる(ダミーを作る)ことで、その形状や部品間の相互寸法だとか組付け性などの問題を確認するために使用されて来た。昔は、モノの大きさなどにもよるが、切削し易い比較的柔らかく、しかも緻密な繊維を持つ木質(ホオノキ材)などが使用されていたが、現在では樹脂ブロックが使用されており、それをマシニングなどのマシンで切削加工して金型の場合の反転したものでなく正立体物を作る場合が多い。また、大きなモノとなると、分割して作ったり、その一部分のみモデリングすると云うことを行っている様だ。
つまり、金型は大量生産の現場で反復使用なされて使用されるが、木型というのは大量生産以前の試作という段階で使用されるもので、金型ができてしまえば、用済みとなる製品なのだ。
ところが、金型は一部3Dプリンタなどで代用がなされている場合もあるだろうが、相当限定的なもので、マスプロダクションの現場では、ますますその数は増えていると推察できる。一方、木型というべきモデリングダミーは、まったく絶滅してしまった訳ではないが、昔よりその製造領域は狭まったと云えると知見している。これは、設計に3D・CADなどのコンピューターソフトが使用される様になり、立体物を画面内で視覚化させて、その寸法だとか形状、そして相互位置関係の問題などを確認できる様になったことがあると想像できる。また、試作段階で3Dプリンタで粗試作して、問題点を把握することもやっていると想像できる。
このことは、クルマのエンジンルームを見てみれば、理解し易いし想像ができると思う。現在のクルマは、エンジン上部を大型の樹脂製の飾りカバーが被っているクルマが多くなったが、それはこの試作が不要で、リードタイムというのを削減できるというメリットを与えたのだ。ただし、カバーを外せば、そこにはおよそ工業製品としての、美的な美しさとは縁遠い造作となってしまう点があると云うことなのだ。
特に、配管だとか配線の処理というのは、おおよそエンジン本体とか補機類の配置が決定してからそれに合わせて、平行だとか垂直だとかを念頭に置いた美的センスも考慮して造作が行われて来たのだが、カバーを付ける前提だと、これらは隠れると云う前提で配管だとか配線処理も、その相互間の長さとか、エンジンであればある程度揺動移動するが、それに際して余裕を持たせるとか、干渉しないとか、熱的影響を受けない寸法の確保など、見てくれはどうあれ、およそ機能上の問題チェックはコンピューター画面上でチェックできるという問題ということだ。
ここで、車両メーカーは、新規開発をスタートさせると、同時にティア1サプライヤーも同時に、基本エンジンやエンジンルームのCADデータを車両メーカーのネットワークサーバー経由で自由にダウンロードし、分担する部品の設計を3DCADデータとして車両メーカーのサーバーにアップロードする。ここで、組み合わせる部品同士の相互位置関係とか、組付け性とか取り外し性などを、車両メーカーや各サプライヤー間で情報共有しつつ、最終設計まで煮詰めていく。
従来だと、これらサプライヤーが木型なり試作品を車両メーカーに持ち寄り、配管と配線のサプライヤーもそこで、採寸したりして、製品仕様を煮詰めつつ再試作品を作ると云う何度も反復する動作を繰り返していて、相当に長いリードタイムを要していたのだが、現在では余程の場合は、限定的に木型ダミーや試作品を作る場合もあるだろうが、その機会は相当薄れているのではないかと想像する。
この思想を最初に取り入れたのは、日本であり、そしてトヨタであったが、瞬く間に全世界に広がったと受け止めている。
【関連過去記事】
醜いアヒルの子
2016-09-22 | 車両修理関連
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/b6a1e3c4b47fb895684d4a5db2a15bb5
#金型屋、木型屋、そしてエンジンカバーの関係