私の思いと技術的覚え書き

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0523 奈良・路線バス火災

2021-05-24 | 事故と事件
 昨日(5/23)、奈良市内の住宅街を運行中の路線バスより出火したとの報を書き留めておきたい。

 いわゆるバス(区分上は乗合)だが、我が国の全自動車保有台数82,52万台(R3年2月統計)に中に占める乗合(普通区分)の台数は108千台となり、その占有率は 0.13% と極めて微少なものだ。しかし、報道される火災事案の数は多く感じるというのが実感だ。

 何故、保有台数が少ないのに火災事案が目立つかだが、私見として以下の様な理由が想像される。
①新造車両価格が比較的高価なこともあり、車両の使用期間が長くなりがちのことがある。一般的な乗用車では10年程度で廃車となる事例が多いが、バスでは20年を超えて使い続けている事例も多い。

②大型バスではリヤエンジン駆動が大多数を占めるが、狭いエンジンルーム内に押し込められたエンジンの不具合などによる高温が、断熱材の劣化などと共に車室内の可燃物に燃え移る事例も見られる。

③路線バスの様な比較的低速で都度停止する様な車両では考え難いが、観光バスの様な比較的長距離を連続して運行する場合、ブレーキの引きずりにより、ドラムが高温となってタイヤから発火に至る事案もかなり見受けられる。

④いわゆる電装系の配線(ワイヤリングハーネス)だが、バス特有の装備や12m近い長大な全長と相まって、その配線被覆の劣化や個別電装品の内部の接触不良により電圧降下と共に高温化し発火に至る事例を知る。

⑤バス特有の装備として、寒冷時になるべく早くエンジン冷却水温を上昇させ、室内暖房を補助する装置として、プレヒーターという装備があるが、枯れ草の上で停止中にプレヒーターを作動させることは御法度の行為だろう。

 今回の奈良路線バス火災は、報じられた記事や写真から、鎮火後に開かれたエンジンリッド内のエンジンルームに燃えた気配がなく、エンジンまたは排気管などを要因とした出火原因ではないだろう。記事末尾にある「警察によりますと、バスの1番後ろの座席の下にある配線が集中している部分の燃えかたが激しいということで、警察と消防はこの周辺から出火したとみて原因を調べています。」とあるが、先の④に該当する部分として、電気配線系の出火の可能性が高いとみる。





【参考過去記事】
燃えるバス多すぎ! 2019-09-21
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/5b753c26ce1b73a2fb1044c0b613bbe9

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住宅街で路線バス炎上 乗客と運転手は避難して無事 奈良
2021年5月23日 19時04分

23日午後、奈良市の住宅街で運行されていた路線バスから火が出て激しく炎上しました。乗客と運転手は直前に避難して無事で、警察と消防が出火原因を調べています。

23日午後2時半ごろ、奈良市帝塚山の住宅街を走っていた奈良交通の路線バスの車内で焦げ臭い匂いがするのに乗客が気付き運転手に伝えました。

運転手が最寄りのバス停で停車して確認したところ、車体の後方から煙が出ていたということです。

このため、6人ほどいた乗客もバスの外に避難しましたが、その直後、火が出て激しく炎上しました。

乗客と運転手にけがはありませんでした。
警察によりますと、バスの1番後ろの座席の下にある配線が集中している部分の燃えかたが激しいということで、警察と消防はこの周辺から出火したとみて原因を調べています。

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