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新幹線電車の停電運休について

2023-01-23 | 事故と事件
新幹線電車の停電運休について
 昨日(1/22)午前に、東海道新幹線の小田原付近で停電状態になり、2時間ほど東京から京都間の東海道新幹線が運休した件について、今日の報道で該当列車で「地絡」という現象が起きて、新幹線架線に電流を給電する変電所で過電流による電源断が生じていたことが報じられている。

 この地絡とは、架線と接触して給電した電流が、マトモに車輪と線路を通じて短絡(ショート)する状態と考えて良いだろう。こうなると、架線に電源を供給する変電所(交流25KV)がオーバーロードで給電がストップしたということになる。
 なお、なせ地絡が起こるのかをネット探索すると、架線電圧25KVという高電圧を考慮し、各碍子部などの間隔はアーク放電が起こり得ない十分な余裕を得ているのだが、JR東日本の事例などでは、パンタグラフ付近の碍子部に鳥がぶつかり地絡が生じた事例などのことが記してある。また、JR東日本の場合は、この地絡が起きた際に、パンタグラフ給電は16両編成でも2ヶ所程度で行っているのだが、別の車両間を通じて過電流が流れることで、別車両の電気機器にも故障が生じたとされている。

 従って、100%は不可能にしても、特にパンタ付近の高圧碍子付近には、鳥など直接ぶつからない様なガードを付けるとか、万一地絡が生じても、パンタ車両のみの過電流で他の車両の電気機器に影響を与えない電気的な配慮が求められるのだろう。

 なお、新幹線の架線電圧25KVという高圧は、電力は電圧×電流の積分値なので、なるべく電圧を上げ、電流を少なくして、接点アークとか架線太さなどを大きくしたくないというところからの高圧化だ。また、電力量としては三相給電の方は単相の3倍の電力が給電できるということになる。しかし、現在の新幹線車両では、単相25KV給電をインバーター回路で、改めて三相に変換し直し、VVVFと呼ぶが三相の可変電圧可変周波数として三相同期モーターを駆動している。

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東海道新幹線のトラブル 電気が新幹線の車体通り抜け地面に流れる「地絡」の可能性
ABEMA TIMES 1/22(日) 18:47配信
 東海道新幹線は車両点検を行った影響で、2時間ほど運転を見合わせるトラブルがあった。電気が新幹線の車体を通り抜けて地面に流れる「地絡」と呼ばれる現象が起きたため、停電した可能性があるという。
 JR東海によると、東海道新幹線は上りの「こだま714号」が新横浜駅と小田原駅の間で停止し、車両点検が行われた。最大で上りは京都駅と東京駅の間、下りは東京駅と静岡駅の間で2時間ほど運転を見合わせた。
 新幹線の車両は、架線からパンタグラフを通じて電気が供給されている。しかし「こだま714号」では、「電気の通り道」以外のところを通って地面に電気が流れてしまう「地絡」と呼ばれる現象が起きた可能性があるという。
 このため、新幹線の架線に電気を送る変電所で異変が感知され、安全性を確保するために自動的に送電が止まったとみられている。東海道新幹線は午後2時55分に運転を再開したが、最大で2時間ほどの遅れが出ていて、ダイヤの乱れはしばらく続くとみられる。(ANNニュース)


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