ゼロ戦からＭＲＪへ

　戦後生まれとはいうものの、幼少の頃の憧れの乗り物は、ゼロ戦であり戦艦大和であったという方は多いと思います。この内、ゼロ戦は、先の大戦直前に、三菱航空機が設計・製作し、後には中島飛行機でも量産されたもので、当時の傑作戦闘機と云われたものです。当時、外国機が１５００馬力級のエンジンに対し、１０００馬力と非力ながら、空力性能と機体の軽量さが相まって、抜群の運動性と上昇力、そして航続距離の長さで、他国機を圧倒する性能を持っていたと伝えられています。
　しかし、そんなゼロ戦もクルマで云えば小変更となるマイナーチェンジは行われましたが、抜本的なバージョンアップは行われることなく、急速に高性能化させて来た他国戦闘機とレーダーなどの技術に対する遅れによって、戦闘力を劣化させて行かざるを得なかったのでした。
　ゼロ戦の高性能の一番の要因は、圧倒的な軽量化にあったと云われます。これにより、抜群の運動性能を得た訳ですが、これも低中速までの話です。最高速に近い高速となると、舵の効きは悪く、というか高速転舵による高Ｇに機体強度が耐えられないというのが実態だった様に思われます。また、軽量化を追求するが故に耐被弾性能や防弾性が低くパイロットの受傷や、燃料タンクの防弾性も悪く機銃弾を被弾するとたちまち火を噴いてしまうというウィークポイントを持っていたと記されています。
　さて、ゼロ戦を設計・製作した三菱重工・名古屋製作所では、現在次世代国産旅客機となるＭＲＪの設計・製作が進行中で最終段階にあると想像されます。当初の予定では、本年中に初飛行が行われ、次年度には米ＦＡＡの型式認証を取得するとのことです。しかし、今次の大震災などによる部品調達の欠品など影響を受けるのかもしれません。