私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

チェーンだから安心は大間違い

2015-03-01 | BMWミニ
 最近は一時全盛を誇ったタイミングベルト(コックドベルト)のカム駆動が少なくなり、それ以前のチェーンが再利用されるエンジンが多数となっています。しかし、以前の幅広のダブルローラーチェーンでなく、幅狭のシングルローラーチェーンの使用がほとんどです。

 このシングルローラーチェーンですが、あくまで個人的感想ですが、耐久性に乏しいと判断しています。好くなBMWや同ミニに採用の4気筒エンジン(N系)など、チェーンが切断してしまうことはないですが、コマ飛びによるバルタイの狂いを何度か経験してきました。オイルメンテの問題もあるでしょうしょうが、スラッジも堆積していない綺麗な状態のエンジンでも生じるから始末が悪い問題です。

 極端なバルタイの狂いはバルブとピストンのクラッシュから、その修復に結構高額な費用を要します。今回行ったのはBMWミニ・R56/N12B16Aエンジンですが、カムアライメントツールで調べると、排気側のズレ角度が30度以上も狂っているという(つまり10コマ弱歯飛びしたということ)なのです。

 幸いなことにカムアラメントを再設定後、無事エンジン始動しアイドルも安定している様子から、懸念されたバルブ系の曲りは生じていないと判断しました。

 この問題の主な原因は、チェーンテンショナの張り不具合から、緩んだチェーンにより歯飛びが生じていると思われます。BMWミニでは、R56のクーパーSモデル(ターボ付き)のみサービスキャンペーンとして無性修理を行っている様です。但し、酷似した同様カム駆動チェーン機構を持つターボなしモデルについては対象外としていますが、解せない話だと感じられます。

 最期に今回使用したカムアライメントツール(外品で26千円程度)ですが、原理さえ判ればなくても大体の作業はできるかとも思えます。以下、その要点をメモしておきます。

①4気筒の各シリンダーを水平状態にする。プラグを外し、割り箸などの同長の棒をピストンにあて1および2番のピストン位置を同一にする。

②フライホイール(リングギヤ)後方にあるサービスホールからクランクロックピンを入れ、クランクを固定する。

③この時、インテークおよびエキゾーストそれぞれのカムシャフト中央上部付近のシリアル番号などの打刻があることを確認する。ない場合は、180度位相がずれているので、クランクピンを外し、もう一周クランクを廻し再度クランクロックする。

④シリンダーヘッド後部のカムシャフト後部にカムアライメントツールを装着し、カム後部の2面幅が垂直であること、垂直でなければアライメントゲージはセットできません。

⑤カム後部の2面幅が垂直以外でずれている場合は、カム前端のスプロッケット固定ボルトを緩め、後端部の2面幅27mmのナット部でカムを廻し位置を合わせる。

⑥カムアライメントツールを装着(もしくはIN・EXカムシャフトの2面幅が垂直位置)で、カムスプロッケットの固定ボルトを締め付ける。

⑦クランクロックを外し、クランクを360度(2周)廻し、再度カム位置二面幅が垂直(アライメントツールが装着できること)を確認して終了です。



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