私の思いと技術的覚え書き

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疑義事案との闘い(その5)

2008-09-08 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 モラルリスク事案との闘いについて、第5回目を記してみます。

 今から20数年前、私がアジャスターとしての活動を始めて、数ヶ月過ぎた頃のことだったと思います。報告された事故状況は、右カーブで運転操作ミスでガードレールに衝突した単独自損事故による車両保険としての扱いの事故です。

 そして、工場に事故現車を立会した訳ですが、現車は車種は違いますが掲載写真の様な損傷を生じていたのです。これには当時経験不足の私も、身震いするような緊張を生じたことが思い出されます。この損傷写真を見てお判りのように、フロントバンパーには直入力する様な大きな損傷はなく、バンパー上のグリルやヘッドランプ、そしてボンネットが大きく損傷しているというもので、典型的な追突車両の損傷形態なのです。もし、右カーブでガードレールに衝突したのであれば、車両の左前部や左側面が損傷するのが普通のことであるのは、誰でも判ることです。

 この際は、何故経験不足もあったのですが、入庫工場から入庫日や聞いている事故状況等を一応は聴取しましたが、緊張していたこともあり、今となってはあまり記憶にありません。ただ、損傷部位の錆の状態は、事故報告にある数日経過と照らし合わせ、大した発錆を生じている訳でなく違和感はなかった記憶はあります。

 この様なモラルリスク事案ですが、損傷状態等から判断して疑念を感じるまでは訳ないことです。そこから、そのことを立証し保険金の支払いを拒絶するまでが、ある意味で大変さが生じる訳です。この際のその後の経緯ですが、当然ですが契約者さんに連絡を入れ、事故現場を確認したいことを要請した訳です。ところが驚いたことに、この契約者さんは、「ガードレールは若干曲がったが自分でハンマーで叩いて直してきた」等と云うのです。当然、そんな馬鹿な話しがある訳ない思いましたが、この時点ではそこまでの話しはできはしません。結局、この事案は、追突した事故であることを前提に、社外調査機関に依頼し、警察での調査をお願いしました。そして、事故報告日より更に1ヶ月前に生じている追突事故が有ることが判明し、事故証明書も入手でき、支払いを拒絶したのでした。

 なお、この事故ですが、約1ヶ月前に車両保険の担保追加が行われていました。通常、保険加入や担保追加から7日から14日位までと会社によって若干違いがあるのかもしれませんが、事故日までが接近している事故を接近事故として、契約の経緯や保険料の入金、事故状況等々を念入りに調査する規定になっている訳です。そんな、こともあり1ヶ月間を置いて事故報告を行って来たと想像されますが、先にも記した通り損傷部位に大した錆びも生じていませんでしたから、事故現車は建物内で保管されていたことが想像されます。


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