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短時間車検・そこまでユーザーは望むのか?

2021-04-14 | 車両修理関連
 今朝(4/14)見るNet報で、下記の山形県内のトヨタ系ディーラーで30分車検に対応したとの内容を見た。
 私のだいぶ前になるが過去の実務体験として、2級旧整備士よ自動車検査員の教習修了証保持者だが、一人前提であれば、検査だけの標準的な作業時間として30分は要するものと認識している。

 今回の山形トヨタディーラーの30分車検は、整備作業者3名で担当するとのことらしいが、多分前提条件として初回車検に限るとか、走行距離数が一定以下とかの幾つかの要件を持っているのだろう。

 数日前に報じた、愛知でのトヨタディーラーの総計5千台超の不正車検の摘発だが、どうやらここも45分車検ということを前提としていたらしい。それが、車検整備の最終として実施される完成検査の故意的な省略など不適切として処分を受けることになった様だ。

 ここからは、自らの知識、経験などを前提にして、如何にして30分車検ができるのかを考えてみたい。まず受け付けに5分、完成検査とその記録や保安基準適合標章発行に、30分は要するだろう。となると、残り25分で3名体制で車検整備をまっとうすると云うことになる。

 ところで、ある競技としての一発勝負であれば、3名体制25分の車検整備もあながち不可能ではないだろう。ところが、一般的な整備業務というのは、競技はないし、業として終日、週間、月間、年間と継続するのが前提となるものだ。こういう競技でない業を行うに際しては、正味作業時間時間に対してある程度の余裕時間というのが必用だというのが作業時間の工数を策定する場合の基本的な考え方だ。どの程度余裕時間を見るかは、作業の単位(継続時間など)により一概には決められないが、多くの整備作業では正味作業時間に30%を加算することで行っている場合が多い。

 この30%を前提とすると、25分の有効時間は、余裕時間を含めると19分の正味作業時間で行わなければならないということだろう。

 また、3名体制での作業ということだから、一人だったら3倍して75分の作業となる計算となるのだが、一人で1時間15分の車検整備作業で何処まで精度高く余裕を持って行うことができるだろうかと思える。

 一般的な車検整備というのは、実務的には限定された作業範囲の定型的な分解と点検と云うことになるのだろう。しかし、例えば車検整備の記録簿で云う、車枠または車体という項目があるが、本気でこれをまっとうしようとしたら、車両下部に路面と僅かに擦過した痕跡があるが、強度的にとか後刻の発錆びなど腐食に対応して処理が必用かなど、それなりの思考と処理時間が必用となってくるので、もう既に25分はまっとうできないだろう。

 何れにしても、45分車検にしても、今般の30分車検にしても、レース競技のピットサービスじゃないんだから、いたずらに時間短縮を第一義的に求める姿勢は何か方向性が間違っている様に思えてならない。そもそも、ユーザーは待合室で待った上での対応だから、なるべく短時間と云うこと何だろうが、あまりに定型的、余裕感のなさに、意味ある車検前提の整備ができるのだろうかと疑問を思う。代車を出しての1日車検程度なら、まだ理解できるが、ちょっとやり過ぎの形骸化した車検整備になる様に感じてしまうがどうだろう。

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ネッツトヨタ山形、全店で30分車検 年度内に全車種対応へ
4/13(火) 16:05配信 河北新報
 ネッツトヨタ山形(山形市)は、主力小型車「ヴィッツ」の車検時間を従来の60分から半分に短縮する「プレミアム車検30分」の導入を、山形県内全11店舗で完了したと発表した。

 企業の生産性向上を支援する山形大国際事業化研究センターと連携した取り組みで、2019年12月に山形市の本店で始まった。同社によると、東北6県のディーラーで30分車検を実施しているのは山形のみ。

 最後の導入店舗となった天童店で3月末に実演会があり、関係者約40人が集まった。所要時間を短くするため整備士3人の動線を見直したほか、事前に道具を用意し、車庫内にマーキングを増やして車の移動位置を一目で分かるようにするなどの工夫が紹介された。

 天童店の担当者は「30分でも安全な点検ができることを知ってほしい。整備士の動きをパフォーマンスとしても楽しんでもらいたい」と話す。

 対象車種は本年度中に全車種へ広げる予定。

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