札幌中央分離帯激突事故 これで死ぬか?
北海道札幌市厚別区にて1/8夜8時前、「厚別中央通り」にある中央分離帯に、乗用車が衝突して乗員2名が死亡したという。
報道写真から衝突した車両は、トヨタカローラAE110(1995-2000年)の4ドアセダン車だが、この年式だとエアバッグは付いていたり付いていなかったり、付いていても運転席だけだったりするのだが。
衝突状況は、フルラップバリアとは異なるが、車両の縦の潰れ剛性(破壊強度)を大きく負担する左右のフロントサイドフレームを中央分離帯端部の極めて強い強度部材に押し当てており、JNCAPでのフルラップバリア試験(衝突速度55km/h)とほぼ等価の衝突程度と思われる。それが証拠に、車両前部は大きく圧壊しているものの、左右フロントピラーの後退は微量で、左右ドアなども正常に手で開閉できる程度であることが判る。
これで、運転席にエアバッグが装備されており、運転者が正常にシートベルトをして云えば、まずHIC(頭部障害値)が1000を越えることはあり得ず、死亡はあり得ない様に見えてしまう。運転席のエアバッグは装備されており、正常機能したのだろうか? そして、運転者は、シートベルトを正常に装着していたのだろうか?
それと、もう一人の搭乗者は後席にいたと報道にあるが、この当時の後席シートベルトは2点式であるし、そもそも後席でシートベルトをしていない場合が多い。現行道交法でも、高速道もしくは自動車専用道のみ、後席乗員のシートベルト規制となっている。
ところで、このフルラップ衝突試験の特徴だが、車両前面の比較的広範囲に等分布荷重を受けるので、車体変形は比較的小さいが、乗員に働く減速加速度(ライドダウンG)は高いという特徴がある。ちなみに55km/h(秒速換算15m/s)で衝突時間0.1病だと、α=Ve/Vtだからおよそ16G程度の平均減速Gとなる。ただし、これも僅か0.1秒の中で、急速に立ち上がり急減するという減速度の上昇加減を繰り返すのだが、特に今回のケースでは、エンジンが後方に押し下げられ、ダッシュに当り規制された当りから急速に減速Gはさらに立ち上がり傾斜を強めるだろう。この減速Gを仮にサイン波だとしてもピークGは√2倍(1.4倍)だが、先に記した様に衝突の後半でエンジン後退からダッシュに当り車体変形剛性が急速に高まったとすれば、2倍を超えることも十分あり得る。仮に今回事故のピークGが30Gとすれば、この減速度そのものでは、極短時間であり人体は死ぬことはないが、30Gで前方に体が投げ出されることになるのだが、前部シートを飛び越しフロントガラスに当たる場合もある。ただし、フロントガラスは割れてはいる様だが、内部から強く当たった痕跡が観察できない。
もう一つ、衝突車内でシートベルトをしていない場合に見られる現象として、特に後席乗員が前部に飛び出して、前部乗員の頭部同士がぶつかり致死に至る事例が知られている。このことは、被害者の死亡原因を医学的知見者に判断させれば、容易に判断できるところだろう。北海道県警、ちゃんと見て欲しいものだ。
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死亡した男女は親子か 路面は"乾燥" 中央分離帯に乗用車が衝突 前部が大破 札幌市
北海道ニュースUHB 2023年1月9日11:59
1月8日夜、札幌市厚別区で、中央分離帯に乗用車が衝突した事故で、死亡した男女2人は親子とみられ、警察が身元の確認を急いでいます。
8日午後7時45分ごろ、札幌市厚別区上野幌2条2丁目の道道「厚別中央通り」にある中央分離帯に、乗用車が衝突しました。
この事故で、運転席にいた70代の男性と後部座席にいた30代から40代くらいの女性が死亡しました。
2人は親子とみられています。
警察によりますと、当時、路面は乾燥した状態で、スリップした可能性は低いとみられ、警察は事故の原因を詳しく調べています。
北海道札幌市厚別区にて1/8夜8時前、「厚別中央通り」にある中央分離帯に、乗用車が衝突して乗員2名が死亡したという。
報道写真から衝突した車両は、トヨタカローラAE110(1995-2000年)の4ドアセダン車だが、この年式だとエアバッグは付いていたり付いていなかったり、付いていても運転席だけだったりするのだが。
衝突状況は、フルラップバリアとは異なるが、車両の縦の潰れ剛性(破壊強度)を大きく負担する左右のフロントサイドフレームを中央分離帯端部の極めて強い強度部材に押し当てており、JNCAPでのフルラップバリア試験(衝突速度55km/h)とほぼ等価の衝突程度と思われる。それが証拠に、車両前部は大きく圧壊しているものの、左右フロントピラーの後退は微量で、左右ドアなども正常に手で開閉できる程度であることが判る。
これで、運転席にエアバッグが装備されており、運転者が正常にシートベルトをして云えば、まずHIC(頭部障害値)が1000を越えることはあり得ず、死亡はあり得ない様に見えてしまう。運転席のエアバッグは装備されており、正常機能したのだろうか? そして、運転者は、シートベルトを正常に装着していたのだろうか?
それと、もう一人の搭乗者は後席にいたと報道にあるが、この当時の後席シートベルトは2点式であるし、そもそも後席でシートベルトをしていない場合が多い。現行道交法でも、高速道もしくは自動車専用道のみ、後席乗員のシートベルト規制となっている。
ところで、このフルラップ衝突試験の特徴だが、車両前面の比較的広範囲に等分布荷重を受けるので、車体変形は比較的小さいが、乗員に働く減速加速度(ライドダウンG)は高いという特徴がある。ちなみに55km/h(秒速換算15m/s)で衝突時間0.1病だと、α=Ve/Vtだからおよそ16G程度の平均減速Gとなる。ただし、これも僅か0.1秒の中で、急速に立ち上がり急減するという減速度の上昇加減を繰り返すのだが、特に今回のケースでは、エンジンが後方に押し下げられ、ダッシュに当り規制された当りから急速に減速Gはさらに立ち上がり傾斜を強めるだろう。この減速Gを仮にサイン波だとしてもピークGは√2倍(1.4倍)だが、先に記した様に衝突の後半でエンジン後退からダッシュに当り車体変形剛性が急速に高まったとすれば、2倍を超えることも十分あり得る。仮に今回事故のピークGが30Gとすれば、この減速度そのものでは、極短時間であり人体は死ぬことはないが、30Gで前方に体が投げ出されることになるのだが、前部シートを飛び越しフロントガラスに当たる場合もある。ただし、フロントガラスは割れてはいる様だが、内部から強く当たった痕跡が観察できない。
もう一つ、衝突車内でシートベルトをしていない場合に見られる現象として、特に後席乗員が前部に飛び出して、前部乗員の頭部同士がぶつかり致死に至る事例が知られている。このことは、被害者の死亡原因を医学的知見者に判断させれば、容易に判断できるところだろう。北海道県警、ちゃんと見て欲しいものだ。
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死亡した男女は親子か 路面は"乾燥" 中央分離帯に乗用車が衝突 前部が大破 札幌市
北海道ニュースUHB 2023年1月9日11:59
1月8日夜、札幌市厚別区で、中央分離帯に乗用車が衝突した事故で、死亡した男女2人は親子とみられ、警察が身元の確認を急いでいます。
8日午後7時45分ごろ、札幌市厚別区上野幌2条2丁目の道道「厚別中央通り」にある中央分離帯に、乗用車が衝突しました。
この事故で、運転席にいた70代の男性と後部座席にいた30代から40代くらいの女性が死亡しました。
2人は親子とみられています。
警察によりますと、当時、路面は乾燥した状態で、スリップした可能性は低いとみられ、警察は事故の原因を詳しく調べています。