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沼津の企業その2 追記

2020-07-02 | 沼津そして伊豆周辺
 今年2月に沼津に本社を持つ有力企業こととして、東芝機械のことを記し、その中で親会社たる東芝の凋落と、約半数の株式を売却され、その隙を突くハゲタカグループとの株式攻防が続いていた様だが、ようやく東芝機械側の組織防衛が決着となった様だ。これと共に、親会社の手を離れ、社名変更の課題も「芝浦機械」という、そもそも東芝買収以前の元来の名称に戻すことが4月1日付けで決定した様だ。

 この芝浦機械だが、我が国の基幹産業は自動車で、かつてはそれに電気・電子産業が連なっていたのだが、それらを作るのに欠かせないマザーリングマシンのメーカーとしては、我が国で欠かせない企業の一つだ。同社の社名は、一般のコンシュマー商品としては縁遠いが、それを作る裏方、もしくは製造現場のプロフェッショナルには、超有名企業の一つであることは間違いない。

 マザーリングマシンメーカーは、大戦前は貧弱で、故に例えばゼロ戦なども高出力エンジンが作れない故に、超軽量さで、運動性能と大航続距離を生み出す戦闘機が出来た(つまり、そこにしか結論は持って生きようがなかった)と云うことだろう。しかし、たった4年の大東亜戦争でも、戦争とは国家の持てるポテンシャルの総てを軍事に注ぎ込まざるを得ない総力戦となるのだが、米国は僅か2年で3千機近いB29戦略爆撃機を量産したのに対し、大戦前に開発したゼロ戦では、幾ら改良したところで、B29の遊弋する1万メートルまで上昇するのがやっと、最高速度ですら敵わなかったという話しだ。それが、今我が国のマザーリングマシンメーカー郡が、その動きを止めたら、米中ロを始め、軍事力としては、大きな影響を与えることだろう。

 芝浦機械が得意としているマザーリングマシンとしては、ダイカストマシンが業界トップだ。機械的構成としては類似となる、樹脂射出成型マシンでも、大手となろう。また、この様なマザーリングマシンを作るための機械として、大型のマシニングセンターとしても特異のジャンルなのだろう。

 1987年に生じた東芝機械ココム違反事件は、潜水艦のスクリューを切削加工するマシニングを違法にソ連(当時)に輸出していたというものだ。潜水艦のスクリューは、かつては水上艦艇と同様に複数軸で複数のスクリューを駆動していたが、戦後は単独スクリューでなるべく大径で軸回転数を低下させることで、大きな推力を低騒音で達成できることから、ほとんどがその形態となった。しかもスクリュー翼の形状は、なるべく高率良く、キャビテーションを生じない様にシミュレーションしつつ、高精度切削加工しているのだろう。日本の潜水艦は、低騒音技術では評価が高いという噂だが、潜水艦を交互に造る三菱重工および川重共、スクリューは芝浦機械性の大型マシニングで切削しているのかもしれない。

沼津の企業 その2(東芝機械) 2020-03-22
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/6d76c72ffc06cd90b80e927bf7f1fc0
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