私の思いと技術的覚え書き

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Audi TFSIを切る

2020-04-26 | 車両修理関連
 このところ武漢肺炎絡みのことばかり記して、それも飽きたので、偶にはメカ講釈論評を記してみたい。題材は、つい先日、そのエンジン外観をチラと見たアウディA4(B8系 2008-2015)という1世代前のクルマのエンジンヘッド廻りだ。

 例によって、トヨタが先人を切って採用し世界中に蔓延させたエンジンカバーが付いている。このカバーは、オイルフィラーキャップを外し、上に引き上げれば、ボス4カ所の填め込み式だから簡単に外れる。そこで、カバーを外して撮影したのが、写真1と2だ。

 注目したのは、ヘッド上部の排気ポート側に都合8ヶもソレノイド様のパーツが付いていることだ。これは何、直噴のインジクターがシリンダー毎に2ヶ付いているのか?とも考えたが、燃料配管もなく何だろうと考えたが判らない。

 帰宅してNet探索したところ、写真3の図を見つけた。つまり、ホンダのVTECと同様に、高速と低速でカムを切り替え、カムリフトとバルブタイミングを変える(AVSと呼称)ことにより、主に低速のトルクを稼ぐメカだと判った。

 しかし、VTECもロッカーアームにムリヤリピンを入れ込むちょっと耐久度に不安のあるメカだが、このアウディのAVSも、パーツ数や可動部位が多く、コスト的には不利な方式とみた。

 そして、直噴のオイル黒化と5、6万キロ以上でのスラッジの堆積は、これらメカにはウィークポイントになるだろうというのが拙人の見立てだ。

 おまけに、Net探索でアウディのHPでTSFIの説明には、ろくにメカ解説もしないで(つまり論理がない)、「たちまち専門家からもユーザーからも絶大な評価」と自画自賛の記述がなされていることには驚いた。

 ついでにアウディのことを、昨今はそのムードだろうか高品質なクルマだと勘違いしている結構クルマの専門家みたいな方までいるが、私見を述べておきたい。そもそも、アウディという企業は、際待てVWと密着した企業であって、その技術的テクノロジーとか、生産設備、プラットフォームなど共通部品が極めて多い。法人格としては独立している様だが、一種のブランド戦略商品といって良いだろう。つまり、レクサスはトヨタが作っているブランド製品と同じことだ。しかも、VWのディーゼル排ガス詐欺を行う様な企業体質を内在していると云うことは忘れてはならないだろう。





補足
 直噴ガソリンが何故オイルが汚れるのかだが、直噴ディーゼル(渦流室式もシリンダー内に吹くので同じ)がオイル汚損が多いのと同様の理由によるのだ。
 従来のポート噴射ガソリン(もしくはキャブレター付き)が、予め空気と燃料の混じり合った混合気として燃焼室に吸入される。しかし、ディーゼルおよびガソリン直噴では、燃焼室の中で空気とガソリンが混じり合う訳だが、燃焼室壁面などに付着した燃料粒は燃え切れず炭化(炭)となって残存し、排気管から黒煙として出ると共に、シリンダー壁面を流れ落ちオイルパンのオイルを黒化させるのだ。
 なお、ディーゼルの場合は、そもそも混合気火花点火燃焼でなく、圧縮着火による拡散燃焼と云われるものだから、ポート噴射はあり得ない。それと、よく勘違いされている解説で、ディーゼルは高速回転できない理由として動弁系の慣性マスがとか、ピストンスピードが何たらとか記しているがまったく間違っている。この理由だが、ガソリンの混合気火花点火では、点火後の燃焼は火炎伝播というもので燃え広がるが、その速度は乱流(Turbulence)に支配される。つまり、高速回転になるほど強い乱流が生じより早い燃焼速度になる。このことを、名前は失念したがある大学教授は「天の恵み」と記していた。一方、拡散燃焼のディーゼルでは、同時多発的に各所から燃焼する故に、大径ボアでも遅延なく燃焼できるが、高速回転に伴い燃焼速度が増加するという特性はない。これが、ディーゼルは高速回転できない理由となる。



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