バッフルプレートの様々とその役目
ここでは、自動車との触れ合い40年超の、ある意味クルマ関連の事柄は何にでも好奇心を湧き起こすという自己私見として書き留めたい。
1.ことの起こり
つい先日、ロータス社のクルマを中心に整備やボデーリペアを手掛けている近隣の整備工場へご機嫌伺いに訪問し、ひとしきり話しを伺ったのだった。この工場、元来は極普通の指定自動車整備工場だった様だが、その経営者がとんでもなくロータス好きだったのだ。そこで、今では一般車の整備も引き受けるが、大半はロータス車関連の車検整備、メカ整備、ボデーリペア、レストアに傾注している。これは想像だが、同社経営者は過去市販されたロータス車で、手を触れていない車種は希だろうというノウハウを持つというかなりレアな工場さんだ。
そんな話しの中、エリーゼに搭載のエンジンの話しになり、トヨタの2ZZ(1.8LデユアルVVT)エンジンが流用されていると云うことは知っていたのだが、ロータス車の2ZZはさらにチューンされており、カムの作用角も異なるという。また、オイルパンの話しにことがおよび、通常の2ZZや他エンジンで互換があるからと安易に付け替え、サーキットをぶっ飛ばすと、焼き付きを起こす可能性があると云う話しを聞き及んだ。
つまり、オルルパンのオイル吸い込み口(ストレーナー部)の周辺に適宜のバッフルプレートを装着していないと、比較的旋回半径が大きく長い円弧を描く様な(例えばFSWだと最終コーナーの様な)コーナーで、強い横Gでオイルが偏りにより吸い込み不良でメタル焼き付きになる事例があるというのだ。
2.バッフルプレートの役目は2つある
オイルパン関連で装備されるバッフルプレートは2種があることをここでは説明したい。
一つは、最初に知見したのは、既に30年程前の初代 4AGエンジンだったが、オイルパンというより、その上に位置するクランクケースの最下部に装着されるバッフルプレートだ。
この役目は、高速回転するクランクシャフトの主にクランクマスウェイト部がオイルパン内のオイル油面に触れ、これを攪拌することで消費損失および油温上昇を防ぐと云う思想を持ったものだった。
そして、二つ目の役目が、今回話しに出た、オイル吸い込み口が強烈な横Gでオイルパン内のオイルが偏り、吸い込み不良となると云うものだ。クランクメタルへの送油は、同メタル部の油膜保持と冷却のため、高負荷高回転においては秒単位の送油不良が、メタルの焼損に至らしめる可能性を持つ。(添付写真に2ZZと4AGの2つのバッフルプレートそれぞれの事例を示す)
3.リヤアクスルハウジング(リヤホーシング)のバッフルプレート
昨今はFRの商用車くらしか使われなくなったリアアクスルハウジング(リヤホーシング)だが、通称バンジョー型と呼ばれるタイプだ。トヨタだと、セリカ・カリーナのTA45とかAE86当たりまで、FRで後輪リジットアクスル車は多用されていた。
このリヤホーシングを左右リアアクスルシャフトを抜いて、デフキャリアを外し、その内面を覗いて見れば判るが、アクスルハウジング内面のデフキャリア近くには、アクスルシャフトより僅かに径の大きな穴が開けられたバッフルプレートが左右に設けられている。
通常デフオイルの油量レベルは、リングギヤの中央よりやや低い位置が油量レベルとなるが、このリジットアクスルでは、アクスルハウジングの空間が大きく、比較的長い高負荷での高速旋回を行うと、デフオイルが偏り、デフの主にリングギヤとドライブピニオン間の油膜が切れるとあっと云う間に焼き付きの症状を生起させてしまう。
昔の話しだが、未だトヨタ系ディーラーに在職した頃、伊豆河津にループ橋という都合2周半の先回をしながら、高低差数十メートルを上下する道が出来ていたのだった。ここを下から上にドリフト気味で高速旋回したら、その後デフのうなり音が生じて歯面焼き付きが生じたという話しがあったものだ。(これも参考図2枚を参照)
4.フューエルポンプにもバッフル効果を持つ機能が装備されている
写真(図含む)は、BMW系車のものだが、インタンク式のフューエルポンプだが、だいたいBMWでは樹脂フューエルタンクの採用が早かったのだが、このインタンク式フュエルポンプユニットもそれなりに工夫がなされてる。
一つは、ポンプユニットはタンク上面にあるフランジに大きなスクリューリングで押さえ込んで固定されているが、このフランジ部とポンプユニット本体はスプリングである程度上下に伸縮する機能を持っており、ポンプユニットの装着時はタンク底面に確実に押し付けられる構造を持たせている。これにより、燃料タンクの残量僅かまで吸い込み不良が生じない様に考慮されている。
そして、二つ目の機能だが、ポンプユニットは、ポンプ径よりかなり大きなハウジング内に縦に格納されているが、ここで燃料をバッフルすることで、燃料残量が少ない場合の高速旋回など燃料の偏りが生じた際にも、同バッフル機能で、燃料の吸い込み不良を防ぐ様に考慮されている。
ここでは、自動車との触れ合い40年超の、ある意味クルマ関連の事柄は何にでも好奇心を湧き起こすという自己私見として書き留めたい。
1.ことの起こり
つい先日、ロータス社のクルマを中心に整備やボデーリペアを手掛けている近隣の整備工場へご機嫌伺いに訪問し、ひとしきり話しを伺ったのだった。この工場、元来は極普通の指定自動車整備工場だった様だが、その経営者がとんでもなくロータス好きだったのだ。そこで、今では一般車の整備も引き受けるが、大半はロータス車関連の車検整備、メカ整備、ボデーリペア、レストアに傾注している。これは想像だが、同社経営者は過去市販されたロータス車で、手を触れていない車種は希だろうというノウハウを持つというかなりレアな工場さんだ。
そんな話しの中、エリーゼに搭載のエンジンの話しになり、トヨタの2ZZ(1.8LデユアルVVT)エンジンが流用されていると云うことは知っていたのだが、ロータス車の2ZZはさらにチューンされており、カムの作用角も異なるという。また、オイルパンの話しにことがおよび、通常の2ZZや他エンジンで互換があるからと安易に付け替え、サーキットをぶっ飛ばすと、焼き付きを起こす可能性があると云う話しを聞き及んだ。
つまり、オルルパンのオイル吸い込み口(ストレーナー部)の周辺に適宜のバッフルプレートを装着していないと、比較的旋回半径が大きく長い円弧を描く様な(例えばFSWだと最終コーナーの様な)コーナーで、強い横Gでオイルが偏りにより吸い込み不良でメタル焼き付きになる事例があるというのだ。
2.バッフルプレートの役目は2つある
オイルパン関連で装備されるバッフルプレートは2種があることをここでは説明したい。
一つは、最初に知見したのは、既に30年程前の初代 4AGエンジンだったが、オイルパンというより、その上に位置するクランクケースの最下部に装着されるバッフルプレートだ。
この役目は、高速回転するクランクシャフトの主にクランクマスウェイト部がオイルパン内のオイル油面に触れ、これを攪拌することで消費損失および油温上昇を防ぐと云う思想を持ったものだった。
そして、二つ目の役目が、今回話しに出た、オイル吸い込み口が強烈な横Gでオイルパン内のオイルが偏り、吸い込み不良となると云うものだ。クランクメタルへの送油は、同メタル部の油膜保持と冷却のため、高負荷高回転においては秒単位の送油不良が、メタルの焼損に至らしめる可能性を持つ。(添付写真に2ZZと4AGの2つのバッフルプレートそれぞれの事例を示す)
3.リヤアクスルハウジング(リヤホーシング)のバッフルプレート
昨今はFRの商用車くらしか使われなくなったリアアクスルハウジング(リヤホーシング)だが、通称バンジョー型と呼ばれるタイプだ。トヨタだと、セリカ・カリーナのTA45とかAE86当たりまで、FRで後輪リジットアクスル車は多用されていた。
このリヤホーシングを左右リアアクスルシャフトを抜いて、デフキャリアを外し、その内面を覗いて見れば判るが、アクスルハウジング内面のデフキャリア近くには、アクスルシャフトより僅かに径の大きな穴が開けられたバッフルプレートが左右に設けられている。
通常デフオイルの油量レベルは、リングギヤの中央よりやや低い位置が油量レベルとなるが、このリジットアクスルでは、アクスルハウジングの空間が大きく、比較的長い高負荷での高速旋回を行うと、デフオイルが偏り、デフの主にリングギヤとドライブピニオン間の油膜が切れるとあっと云う間に焼き付きの症状を生起させてしまう。
昔の話しだが、未だトヨタ系ディーラーに在職した頃、伊豆河津にループ橋という都合2周半の先回をしながら、高低差数十メートルを上下する道が出来ていたのだった。ここを下から上にドリフト気味で高速旋回したら、その後デフのうなり音が生じて歯面焼き付きが生じたという話しがあったものだ。(これも参考図2枚を参照)
4.フューエルポンプにもバッフル効果を持つ機能が装備されている
写真(図含む)は、BMW系車のものだが、インタンク式のフューエルポンプだが、だいたいBMWでは樹脂フューエルタンクの採用が早かったのだが、このインタンク式フュエルポンプユニットもそれなりに工夫がなされてる。
一つは、ポンプユニットはタンク上面にあるフランジに大きなスクリューリングで押さえ込んで固定されているが、このフランジ部とポンプユニット本体はスプリングである程度上下に伸縮する機能を持っており、ポンプユニットの装着時はタンク底面に確実に押し付けられる構造を持たせている。これにより、燃料タンクの残量僅かまで吸い込み不良が生じない様に考慮されている。
そして、二つ目の機能だが、ポンプユニットは、ポンプ径よりかなり大きなハウジング内に縦に格納されているが、ここで燃料をバッフルすることで、燃料残量が少ない場合の高速旋回など燃料の偏りが生じた際にも、同バッフル機能で、燃料の吸い込み不良を防ぐ様に考慮されている。