私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

技術職とOJT

2010-07-13 | 技術系情報
 今回は、アジャスターや整備士、ボデーマンなどの技術職の職場内教育(OJT)のことに関連して記してみたいと思います。
 まず、これら技術職には予てから呼ばれる職人としての気風が今だ残り、「職人は先輩は後輩に教えない、後輩は先輩を見て技術を盗むんだ」みたいなことが聞かれることがあります。確かに、私も気むずかしそうな先輩に声も掛けづらく、先輩を横目で見ながらやることなすことを盗み見て来たこともあったものです。しかし、それだけでは技術の伝承は困難なことだと感じられます。
 ところで、何処の世界にも説教好きな説教オヤジとも呼べる方がおられるものです。私もアジャスターに成り立ての頃など、鈑金工場の説教オヤジに「これをどう直すか言ってみな」なんて仕掛けられ、「かくかくしかじか直すと思います」なんて安直な説明をしたものです。すると、説教オヤジは「バカたれ、そんなんで直る訳ないだろ」と一喝され、続いて「これはな、かくかくしかじかするんだよ、判るだろ」なんて実物教材付きで一生懸命説明して下さる訳ですね。この様な、説教オヤジとの出会いというのが、新米アジャスターたる私を育ててくれた一つの出来事であったと思いだされます。
 さて、私のアジャスター修業も月日が流れ、まあ本人だけかもしれませんが一人前だとの自惚れも生じてきた頃、後輩が私のところへ来て「先輩、この見積どう思います」みたいな質問をぶつけてきます。私は偏屈なところもあり、その質問に直接答えず、質問者の後輩にむかって「じゃあここはどうなる」とか「あそこはどうする」みたいな質問を立て続けにぶつけていくのです。そして、その質疑応答が終わる頃になると、「じゃあ、この見積はこうなるしかないわな」ということで一件落着するのです。
 また、事務所で業務中のとき、私が一段落付いて暇になると、その時に見積作成していた写真を持って後輩の所へ行きます。そして、「おい、○○君、この見積どう書く?」みたいな質問をぶつけるのです。後輩は「えーと、かくかくしかじかですかね-」みたいな返事をしますが、私は「それじゃここどうすんのよ?、あそこどうすんのよ?」などと質問を重ねてぶつけていきます。さらに「工場にこう質問受けたらどう答える?」などと追加して問い質し、またまた説教的口調が一しきり続くんですね。正に、私がアジャスターの駆け出しの頃であった説教オヤジが、自らに形成されているのです。
 さて、説教オヤジたる私ですが、説教口調で意見する相手は先輩とか同輩はあり得ず、明かな目下の後輩だけのことに限ります。また、後輩であれば総てと云う訳でもなく、自らが勉強し技術を向上させたいという向上心を持った者に限られていると意識しています。ですから、何時もその場しのぎにものごとを回避しようとだけする不真面目な後輩(いわゆる仕事をなめてる奴)には、最初から説教するつもりは到底なりません。
 最後に、ここで私が述べたいことを繰り返しておきます。技術者たる先輩は後輩に対し良い意味での説教ヤジたれということと、技術者たる後輩は自らが勉強し技術者としての向上心を忘れないことになるでしょう。

追加
 技術者の教育担当部門に居る者および採用に関わる者に向けて苦言を記しておきたい。
 教育担当者に向けては、技術者教育は君らか総てを担当できるものではなく、技術者自らが勉強して技術を伸ばして行くための考え方を、もっと教え込まなければいけないと思う。教育とは受動的に受けるものでなく、自らが欲し、仕掛け、得られるものであるはずだからである。
 技術者の採用に関わる者へであるが、仕事をなめてる奴、陰の努力を怠る奴などは、幾ら見掛けがの知識がそこそこでも採用しないことと感じる。


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