私の思いと技術的覚え書き

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JR西の体質は変わらず

2022-04-21 | コラム
JR西の体質は変わらず
 以下の記事だが、JR西では福知山線の大事故を受け、「事故後、安全対策の柱として日勤教育の見直しを掲げ、16年4月には事故やミスで列車の遅延が起きても社員を処分しない「非懲戒」制度を導入した。」とされるが、過日岡山地裁で判決された内容からは、何ら懲罰優先思想に変化なしと報じている。

 そもそも、JR西は赤字体質で経営者はそれをなんとかしようと躍起になっていることが背景にありそうだ。これは民営企業であれば、ある意味当然のことだが、代替機関がない公共的交通機関にあっては由々しき問題で、資本の論理だけで片付けるべき問題と思える。

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「JR西日本の体質変わらず」 1分遅延で賃金カットに脱線事故遺族落胆
毎日新聞 4/20(水) 21:24配信
 「JR西は何も変わっていない」。2005年4月のJR福知山線脱線事故で妻を亡くした男性(65)=兵庫県西宮市=は落胆の声を漏らした。男性運転士が岡山地裁に起こした訴訟では、JR西日本が1分間の出発遅れを理由に賃金をカットしたことが明らかになった。ミスを厳しく責める企業体質が脱線事故の遠因になったと指摘されてきただけに、男性には「なぜ」との思いが消えない。

 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(当時)の調査報告書(07年)によると、脱線した快速電車を運転していた高見隆二郎運転士(当時23歳)は事故直前に駅でオーバーランを起こし、ミスを少なめに報告するよう車掌に依頼。車掌が無線でどう報告するかに気を取られ、ブレーキ操作が遅れたとされる。

 高見運転士が以前から恐れていたのが「日勤教育」と呼ばれる懲罰的な再教育だ。高見運転士は過去3回、日勤教育で長時間、反省文を書かされたり、叱責を受けたりしていた。事故調は「技術的な内容が不足し、一部の運転士にはペナルティーと受け取られていた」と厳しく批判した。

 JR西は事故後、安全対策の柱として日勤教育の見直しを掲げ、16年4月には事故やミスで列車の遅延が起きても社員を処分しない「非懲戒」制度を導入した。

 しかし、岡山地裁の訴訟では、運転士が待機場所を間違えたというささいなミスで不利益な扱いを受けた。遺族の男性は「本来なら注意で済むことを罰する体質は変わっていない。問題が起きた時に会社側と乗務員でコミュニケーションを取って解決することができていないのではないか」と疑問を投げかける。

 25日で最愛の家族を失って17年になる。毎月の月命日に現場で手を合わせてきた。「同じ事故を繰り返さないためにもおかしいと思うことには声を上げたい」【清水晃平】
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【岡山地裁】
JR西日本に賃金56円の支払い命じる判決 岡山地裁「人間の活動である以上、誤りや遅れ生じる」
KBS 2022/4/19 19:38
 JR西日本の運転士が、勘違いなどで起きた業務の遅れで賃金をカットされるのは不当だとしてJR西日本を提訴した裁判についてです。

 訴状によりますと、訴えを起こした運転士は2020年6月、岡山駅で回送列車を車庫に移動する作業において、本来は「2番線」のホームで電車を待つことになっていましたが勘違いし「5番線」で待っていました。

 そのため作業の開始が予定よりも2分遅れ、車庫に向けての発車は1分遅れとなりました。車庫に入れる作業はそのまま1分遅れで完了したものの、JR西日本は遅れた分は「債務不履行だ」などとして1分間分の賃金を支払っていませんでした。

 遅れが生じたのは回送列車の1本のみで、ダイヤに影響はありませんでした。

 運転士はこれを不当だとして、JR西日本に対してカットされた賃金56円や慰謝料200万円などを求めていました。

 岡山地裁は19日、原告側の主張を一部認め、賃金56円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

JR西日本岡山支社の運転士・和田博文さん
 この裁判はJR西日本岡山支社の運転士・和田博文さんが起こしたもので、和田さんは4月3日に病気のため亡くなっています。

原告側の会見(2021年3月)
 和田さんはこれまでの裁判で、「私は決してサボっていたわけではなく労働実態があるのに賃金をカットされるのは労働基準法違反だ」などと訴えていました。

 一方、JR西日本側は、「遅延した1分は労務が提供されておらず賃金は発生しない」などと反論していました。

4月19日の法廷
 19日の判決で岡山地裁の奥野寿則裁判長は、「人間の活動である以上、誤りや遅れなどが生じることは想定されることで賃金は発生する」などとして未払い分の賃金56円をJR西日本に支払うように命じました。

 一方で原告側が訴えていた精神的苦痛による慰謝料200万円の請求は、「原告の不利益は賃金が支払われれば回復する」などとして退けました。

 判決を受けて原告の和田さんが所属していた労働組合の代表はー―。

(JR西日本労働組合 中国地方東分会/中新裕次郎 執行委員長)
「ミスはあっても、それが価値がないとか、ノーワーク、ノーペイではなく、ちゃんとした労働が認められたことは素直にうれしい」

 原告の代理人弁護士は遺族と相談して控訴するかどうか検討するとしています。

 一方、JR西日本は、「今年3月に人的ミスでの賃金カットはしないように見直しを行っていて、控訴はしない」としています。

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#JR西の企業体質変化なし #そもそも公共交通を民営化した不合理


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