ドア1枚の色差が違うクルマが増えている訳の理由付けに疑問
確かに記事にある通り道路を走行していて、斜め前を並進する車両などで、ドア1枚がその隣接パネルと色差が目立つというのをさほど頻繁ではないが見る機会はある。
この理由だが、記事には、材料費が値上がりしているとか塗装職人の人材不足がとか記しているが、ちょっと疑問を思う説明と感じる。
たしかし、石油化学製品である塗料の値上がりは著しいものがあるが、さりとて塗装費に含まれる塗料代は、塗色により異なるものの、それが50%とか高比率になるものではない。しかも、多くの管理しきれていないBP業社では、目的塗装の必要分とされる量の20%増し程度で調色済み塗料を作成するのが理想だが、アバウト感覚が大きすぎ、150%とかそれ以上に調色済み塗料を作ってしまっている事例は多い様だ。
それと、端的には塗装職人の腕が悪いと記しているが、この素人が見て判る色差を塗装職人が判らぬ訳がなく、あえて後段説明するボカシ塗装をしないで済ましているものであり、多くの場合それはユーザーとの打ち合わせの中で、料金とのコスパの関係上から、多少違っても良いと云う了承の上で行っていると思える。そうでないと、他人に当てられた事故で対物保険で直す様な場合、こういう色差が判れば、クレームを出すユーザーも出てくるだろう。その場合、再度修理をやり直すと云うことになりかねず、これが修理の限界だでは済まされないと思える。
この色差だが、記してあるとおり、ソリッドでは少ないがメタリックやパールカラーそれも淡色系色で目立ち易い。そもそも、現在の調色は、塗料メーカー毎に出されているボデーカラー別にデータが出されている配合表を基準として0.01g単位まで軽量できる高精度な秤で配合表比率で混ぜ合わせ調色する。この場合、ソリッドカラーでは人の目で判別できないまで比較的容易に色差を収束できる。ところが、メタリックとかパールカラーというのは、色に方向性があり、正面(被塗色に正対して見る)とスカシ(被塗色を斜めに見る)で両方を配合表での配合比率だけで合わせるのは困難だ。
そもそも、メタリックやパールは塗料として調色がかなり精度高くできたとしても、そのスプレーガンのエア圧とかガンの移動速度などなどの諸条件の変動によってさえ、色が異なる場合もあるし、色が異なると云うよりメタルムラと呼ぶが、メタルのならび異なる異なることで、ムラ状になってしまうこともある。
何れにせよ、メタリックおよびパール色では、微少な調色を何度も繰り返し追求しつつ、塗布条件も合わせ込んで行けば単品パーツだけの塗装で、隣接パーツとの色差を人の目で判らなくすることは不可能ではないと思われる。しかし、一般にはそういう施行では調色時間が掛かり過ぎ、ある程度の色差が生じることを前提として隣接パネルのボカシ塗装を施行することで、人の目では色差を目立たなくするボカシ塗装が施されてるのが一般的だ。
この場合、ドア1枚交換して塗る場合、同一面としての該当ドアの前後パネル(隣接パネル)との色差が目立つが、この隣接パネルをボカシ塗りして色差の区切りを不明確にしてやることで人の色差判別能力の限界を利用し、色差を判らなくする手法が常套的に行われる。
【関連記事】
ボカシ塗装理論
2022-03-03 | 車両修理関連
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/050f0e740275cd3b1a4777020d254c44
-------------------------------------------------------------
人手不足に材料費高騰も影響している! 最近「ドアの色」が「1枚だけ違う」クルマが増えているワケ
WEB CARTOP 7/15(土) 10:10配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/5e48069434bd519be61fa48b1bf2cb2b54d685c0
整備士不足以上に板金塗装職人不足が深刻
事故などによってクルマの一部を再塗装することがあるが、塗装や板金は非常に高い技術が求められる。なので、色が元のボディと違うなんてことがよく起きてしまうのだ。
最近、気になっているのが、ドアだけ色が違うクルマをけっこう見かけるということ。まったく違うなら、個性の主張かな? なのだが、気になるのは少しだけ色が違うからだ。多いのはシルバーやガンメタなどのメタリック系で、ソリッドは少ないのも気になる。「そうかな?」と思う方は、気にして見ていると、発見できるはずだ。
そもそもなぜ色が違うのかというと、これは板金塗装跡。つまり、補修したところの色が合っていないというのが原因となる。メタリック系で多いのはメタリックやパールは金属などの粒を混ぜていて、それが車体製造時のものと種類が違ったり、粒の向きが違うから。メタリック系は補修塗装が難しいと言われるのはこのためだし、塗装というのは紫外線の影響などで色あせしてしまうため、実際の車体に合わせて色合わせをしてやる必要がある。
なぜ最近になって補修した跡が目立ってしまっているのかというと、まずは予算の問題。板金塗装は人手不足、経験者不足が整備士以上に深刻なだけに、費用が高騰していて、それゆえドアだけ塗って直すという例が増えているから。塗料などの材料費が高くなっていることも拍車をかけている。
メタリックの場合、前述のようにどうしても色が合わずに補修跡が出やすいので、ドアをぶつけたとしてもサイド全面を塗ってしまうのが基本だった。20年ぐらい前まではパネル1枚3万円というのが目安と言われていたが、いまではとてもそんな費用のレベルではないのが実際で、自腹修理だとぶつけた場所だけ補修しておしまいとなってしまうし、保険修理の場合でも、場合によってはぶつけたところだけということもある。
そして人手不足、経験者不足となると、技術的に色合わせが下手ということにもなる。クルマのボディ用塗料は出来合いのものはなくて、指定に合わせて調色して作る。ここに色あせ分を加味して実際の色を作るのが本来の作業。非常に経験が必要なだけに、人手不足の昨今ではそもそも合わせられないことも多い。ボディに当てて色を読み取る機械もあるが、基準にはなるがリアルではない。
さらなる背景としては、衝突安全性向上のため、見切りが悪くなってぶつけやすくなっているのもあるだろう。
いずれにしても、ぶつけてしまったから板金して塗装で直すと気軽に考えられない時代になってきているということだ。クルマ好きにとっては色が違っているのは非常に気になったり、許しがたいことだったりするが、費用の高騰などが理由となると、致し方ない面もあるだろう。近藤暁史
確かに記事にある通り道路を走行していて、斜め前を並進する車両などで、ドア1枚がその隣接パネルと色差が目立つというのをさほど頻繁ではないが見る機会はある。
この理由だが、記事には、材料費が値上がりしているとか塗装職人の人材不足がとか記しているが、ちょっと疑問を思う説明と感じる。
たしかし、石油化学製品である塗料の値上がりは著しいものがあるが、さりとて塗装費に含まれる塗料代は、塗色により異なるものの、それが50%とか高比率になるものではない。しかも、多くの管理しきれていないBP業社では、目的塗装の必要分とされる量の20%増し程度で調色済み塗料を作成するのが理想だが、アバウト感覚が大きすぎ、150%とかそれ以上に調色済み塗料を作ってしまっている事例は多い様だ。
それと、端的には塗装職人の腕が悪いと記しているが、この素人が見て判る色差を塗装職人が判らぬ訳がなく、あえて後段説明するボカシ塗装をしないで済ましているものであり、多くの場合それはユーザーとの打ち合わせの中で、料金とのコスパの関係上から、多少違っても良いと云う了承の上で行っていると思える。そうでないと、他人に当てられた事故で対物保険で直す様な場合、こういう色差が判れば、クレームを出すユーザーも出てくるだろう。その場合、再度修理をやり直すと云うことになりかねず、これが修理の限界だでは済まされないと思える。
この色差だが、記してあるとおり、ソリッドでは少ないがメタリックやパールカラーそれも淡色系色で目立ち易い。そもそも、現在の調色は、塗料メーカー毎に出されているボデーカラー別にデータが出されている配合表を基準として0.01g単位まで軽量できる高精度な秤で配合表比率で混ぜ合わせ調色する。この場合、ソリッドカラーでは人の目で判別できないまで比較的容易に色差を収束できる。ところが、メタリックとかパールカラーというのは、色に方向性があり、正面(被塗色に正対して見る)とスカシ(被塗色を斜めに見る)で両方を配合表での配合比率だけで合わせるのは困難だ。
そもそも、メタリックやパールは塗料として調色がかなり精度高くできたとしても、そのスプレーガンのエア圧とかガンの移動速度などなどの諸条件の変動によってさえ、色が異なる場合もあるし、色が異なると云うよりメタルムラと呼ぶが、メタルのならび異なる異なることで、ムラ状になってしまうこともある。
何れにせよ、メタリックおよびパール色では、微少な調色を何度も繰り返し追求しつつ、塗布条件も合わせ込んで行けば単品パーツだけの塗装で、隣接パーツとの色差を人の目で判らなくすることは不可能ではないと思われる。しかし、一般にはそういう施行では調色時間が掛かり過ぎ、ある程度の色差が生じることを前提として隣接パネルのボカシ塗装を施行することで、人の目では色差を目立たなくするボカシ塗装が施されてるのが一般的だ。
この場合、ドア1枚交換して塗る場合、同一面としての該当ドアの前後パネル(隣接パネル)との色差が目立つが、この隣接パネルをボカシ塗りして色差の区切りを不明確にしてやることで人の色差判別能力の限界を利用し、色差を判らなくする手法が常套的に行われる。
【関連記事】
ボカシ塗装理論
2022-03-03 | 車両修理関連
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/050f0e740275cd3b1a4777020d254c44
-------------------------------------------------------------
人手不足に材料費高騰も影響している! 最近「ドアの色」が「1枚だけ違う」クルマが増えているワケ
WEB CARTOP 7/15(土) 10:10配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/5e48069434bd519be61fa48b1bf2cb2b54d685c0
整備士不足以上に板金塗装職人不足が深刻
事故などによってクルマの一部を再塗装することがあるが、塗装や板金は非常に高い技術が求められる。なので、色が元のボディと違うなんてことがよく起きてしまうのだ。
最近、気になっているのが、ドアだけ色が違うクルマをけっこう見かけるということ。まったく違うなら、個性の主張かな? なのだが、気になるのは少しだけ色が違うからだ。多いのはシルバーやガンメタなどのメタリック系で、ソリッドは少ないのも気になる。「そうかな?」と思う方は、気にして見ていると、発見できるはずだ。
そもそもなぜ色が違うのかというと、これは板金塗装跡。つまり、補修したところの色が合っていないというのが原因となる。メタリック系で多いのはメタリックやパールは金属などの粒を混ぜていて、それが車体製造時のものと種類が違ったり、粒の向きが違うから。メタリック系は補修塗装が難しいと言われるのはこのためだし、塗装というのは紫外線の影響などで色あせしてしまうため、実際の車体に合わせて色合わせをしてやる必要がある。
なぜ最近になって補修した跡が目立ってしまっているのかというと、まずは予算の問題。板金塗装は人手不足、経験者不足が整備士以上に深刻なだけに、費用が高騰していて、それゆえドアだけ塗って直すという例が増えているから。塗料などの材料費が高くなっていることも拍車をかけている。
メタリックの場合、前述のようにどうしても色が合わずに補修跡が出やすいので、ドアをぶつけたとしてもサイド全面を塗ってしまうのが基本だった。20年ぐらい前まではパネル1枚3万円というのが目安と言われていたが、いまではとてもそんな費用のレベルではないのが実際で、自腹修理だとぶつけた場所だけ補修しておしまいとなってしまうし、保険修理の場合でも、場合によってはぶつけたところだけということもある。
そして人手不足、経験者不足となると、技術的に色合わせが下手ということにもなる。クルマのボディ用塗料は出来合いのものはなくて、指定に合わせて調色して作る。ここに色あせ分を加味して実際の色を作るのが本来の作業。非常に経験が必要なだけに、人手不足の昨今ではそもそも合わせられないことも多い。ボディに当てて色を読み取る機械もあるが、基準にはなるがリアルではない。
さらなる背景としては、衝突安全性向上のため、見切りが悪くなってぶつけやすくなっているのもあるだろう。
いずれにしても、ぶつけてしまったから板金して塗装で直すと気軽に考えられない時代になってきているということだ。クルマ好きにとっては色が違っているのは非常に気になったり、許しがたいことだったりするが、費用の高騰などが理由となると、致し方ない面もあるだろう。近藤暁史