「たたら」(たたら吹き)とは、古来からの鉄の製造法のことです。遙か昔の鉄器時代より継承されてきたもので、「たたら」とは「ふいご」のことを指します。「たたら」による製鉄は、1夜(3日3晩)を要し、この作業の技術責任者を「村下」(むらげ)と云います。村下は、たたらの操業中に、絶えず炎や炉側壁に設けられた「ほど穴」から炉内の状況を見続け、砂鉄や木炭の投入や、ふいごを踏む速度を指示して作業を統括指揮します。村下の眼は、絶えず強い光に曝されて衰え、やがて視力を失うに至ると云います。この様な壮絶な闘いによって、鉄が作られ続けたのです。
「たたら」で作られた玉鋼(たまはがね)は、炭素量1~1.5%の鋼ですが、不純物の含有が極めて少ない、極めて純度の高い鋼だと云います。そして、この玉鋼が日本刀の原材となるのです。この太古から継承されて来た「たたら」とは、ロマンを感じることなのです。