私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

ものを考えない修理屋達

2016-12-18 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 このところ知り合った自動車整備屋から、度々同僚整備屋の情けなさを嘆く愚痴を聞き続けている。つまり、対応する車両の整備について、何らかの不具合なり、結構よくあるトラブルについて、その動作原理を知らずというか、そもそも知ろうとする意欲がないというものだ。そこで、原因となる個別部品や関連する部品の診断が甘く、単に悪い部品だけを定型的に替えれば良いという感じの姿勢となり、幾ら繰り返し動作原理などを説明しても、姿勢は変わらず進歩がないというものだ。

 具体例として記せば、冷却水漏れでウォーターポンプ(以下ウォポン)を交換するため不良のポンプを外したとしよう。普通、適切な整備屋なら不良のウォポンを観察し、シャフトシールのドレーン穴からの漏れであることを確認した上で、良しとなる訳だ。もし、ドレーン穴からの水漏れ痕跡がないとしたら、ウォポンボデーとブロック側の当たり面のシールやガスケットもしくは、双方の当たり面にキズ付きや歪みがないかを疑い持って点検するだろう。ところが、件の情けない同僚整備屋は、そんな観察とか思考は一切しないで、新しいウォポンの組み付けに掛かるという事例だ。

 こういう話を聞いて、数十年前に自からが何度も実経験して来た状況と、今もまったく変わりはしないと改めて思うのだ。そして、このことは、今も多くの整備、板金といった自動車業界の方々に、結構多く存在するであろうという私の不審感にも共通する問題でもあるのだ。これは、下記に示す何ヶ月か前に記した、「ディーラーの技術力?」とも類似する問題だろう。

ディーラーの技術力?

 さて、ここでクルマのメカ知識に一定の自信がある方に向け考えてもらおう。下記写真は停車状態だが、直進走行中にステアリングのセンターが左右どちらかに狂っているとしよう。ステアリングセンターは、路面傾斜などにも影響してくるので、多種類の道路において平均的に狂っているものとする。ここまで読んだ、あなたは、どう判断し、どの様な修正作業を行うだろうか?

 もし、サイドスリップテスター通し、許容値(±5mm以下)なら、ステアリングホイールを抜いて、付け直すなんて考えたとすれば、とんでもないことだと断じる。ステアリングホイール位置を初期位置から、止むえず付け直すことが絶対ないとまでは思わないが、それはそれなりの理屈が通る最後のことであろう。

 もし、4輪アライメントテスターを保有しているなら、計測しつつ異常ヶ所の検討を行えばいいだろう。しかし、今まで正常だったステアリングセンターが、ある日狂ったとしたら、何処かに変形するとかの異常が生じていると思わなければならないだろう。これは、4輪アライメントテスターがあれば、何も考えずに判断できるという問題ではない。もし、私ならであるが、サイドスリップがOUTオーバーしており、一般的国産車に多い後ろ引きタイロッド(ラック)だとしよう。トーアウトを生じさせる変形がないか計測して見るだろう。具体的には、タイロッドエンドセンター(締結ボルト中心)とホイールの間隔を左右計測して同一かを確認することだろう。数十年前になるが、FR車で単体のナックルアームが補給される時代に、この手法で異常を見つけ、このナックルアームだけを替え、タイロッド長さの調整は一切なしで、ステアリングセンターも直り、サイドスリップもほぼゼロに戻ったということを実体験している。

 もう少し深く掘り下げてみよう。ステアリングセンターは、路面傾斜にも影響されるが、4輪車ではもっと影響を与えるのがリヤアクスルのトーの不整合なのだ。つまり、ホイールベースを計測し、左右差を確認することは大事なことだろう。もしくは、サイドスリップテスターで後輪を通過させてみて異常がないか点検するのも良いだろう。この手法で、同じく数十年前にクラウン(MS105)で、リアアクスル(ホーシング)の曲りを発見したという記憶が甦る。


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