私の思いと技術的覚え書き

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決着を得るための並行戦

2010-07-24 | コラム
 ものごとの決着が付かない争いを平行戦などと云いますが、ここではもう一つの並行戦として、決着を得るためのための戦いとなる艦隊同士の並行戦のことを記してみます。

 ここに云う並行戦とは戦艦同士の艦隊決戦において、彼我の艦隊同士が互いに平行となって、互いに相手艦に向けて大砲を撃ち合うというものです。この逆に、対向戦というのが考えられますが、相対してすれ違うため打ち合える時間が相当短くなってしまうことから、一般的な艦隊決戦においては不適なものとなります。

 小説「坂の上の雲」の中で描かれる連合艦隊とバルチック艦隊の決戦における、秋山真之(さねゆき)参謀が編み出したと云われる丁字戦法(別名:東郷ターンとも)も、如何にして並行戦に導くかというプロセスを図るための戦法なのです。

 艦隊同士の並行戦による決戦というのは、ネルソン提督率いる英国艦隊がナポレオン艦隊を破ったトラファルガーの戦いなどを含め、正に艦隊同士が手が届かんばかりに接近して打ち合うという、歩兵同士の白兵戦に近いものがあった様に感じます。このことは、戦闘行為における結果としての悲惨さは生み出されるというものの、彼我の軍隊が正々堂々と姿を見せ合い、決闘するという局面においては、ロマンすら感じると記すとお叱りを受けてしまうでしょうか。

 しかし、第2次大戦の我が国の真珠湾攻撃によって、時代が変わったことが実績されました。戦艦など意味もなく、航空機動部隊の活用が戦局を決める時代となったことをです。しかし、そのことを実績して我が国が、限られた国家資源の多大に浪費し、大和や武蔵そして三番艦である信濃(途中で空母に改装、就航直後に雷撃沈没)という巨大砲戦艦を建造し、あっという間に海の藻屑とされるのですから。

 そして、さらに時代は変わりました。現代戦においては、相手を肉眼で視認して戦うということは少ないと思います。各種レーダーやスパイ衛星からの画像、潜水艦などの聴音機によって、視認する遙か以前に敵を補足し、誘導ミサイルや巡航ミサイル、そして魚雷などによって、一撃必殺に近い確度で命中させてしまいます。しかし、この様な時代になると、戦闘において攻撃する者は、各種モニター画面とコマンドボタンだけのテレビゲームなどのバーチャルゲームと変わりない感覚に陥る様にも想像されます。イージス艦などで戦闘体制における兵器を指揮・制御するというCIC(コンバット・インフォメーション・センター)は、最新艦は公開されていませんが、多数の大型、中型、小型モニターやレーダースクリーンに囲まれた艦の中央内部に存在する窓もない部屋の様です。



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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
情報戦も熾烈ですね。レーダーに映っていると思っ... (時雨)
2010-07-24 19:32:40
情報戦も熾烈ですね。レーダーに映っていると思ったらデコイだったり・・・。頭脳によるだまし討ちは果たして正当な戦術か?昔堅気の真面目な軍人さんが馬鹿を見るのはどうも納得いきませんが。
ところで「坂の上の雲」は三年がかりですね。来年以降になりますねえ、バルチック艦隊。楽しみではあります。
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