治療や診断にはガイドラインがあり、質の高い医療を受けてもらうために作られています。その内容の多くは、インターネットで患者も内容をチェックできる時代になってきています。
ガイドラインは、患者にあった適切な診療介入を推奨する一方で、有害なあるいは無駄で高額な検査や治療を行わないようにという「逆の」推奨もあります。
米国などでは医療費に対しての意識が高いので、ガイドラインの順守がなされているのではないかと思われがちです。しかしながら、その米国でも、腰椎症について全国規模で調査したところ、そうではないという結果がでました。
足のしびれや麻痺、尿閉などの神経症状、熱などの感染症の症状、体重減少や癌の病歴などの悪性腫瘍を示唆する病歴、夜間痛(安静で増悪する痛み)などがなければ、腰痛があっても、画像検査はその後の結果に影響を与えず、無駄であることが知られており、このことは多くの学会からの賢い選択をとの提言が出ています(Choosing Wisely Campaign) 。医師も患者も問い直すべき項目として下記リンクからアクセスできます。
http://www.choosingwisely.org/doctorpatientlists/American-academy-of-familyphysicians/
しかしながら、実際の現場では多くの患者と医師が、「検査をやってしまう」選択をとっていることがわかっています。今後、賢い患者・医師の間では、限られた資源の有効利用という点で、検査・治療の有害性や医療費の使い方のルールについて見つめなおす必要はあるようです。
厚生労働大臣の私的諮問委員会リポート「保健医療2035」で、私たちは「医療の価値を高める」という具体的な目標を掲げました。最近の世界の医療政策分野では、
価値(バリュー)=アウトカム-有害事象-コスト、
という式が導入されています。価値の高い医療を受けて、賢い患者になりましょう。
今回はここまでです、9月に入って各地で大雨や突風の被害が出ています、昨日は千葉県で竜巻とみられる突風で七十棟あまりの被害が出ているそうです、皆さん天気情報には注意してください、特に雷注意報が出たら気をつけて下さい、では次回に。
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