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ポリファーマシー研究のススメ

2020-12-24 | 闘魂症例検討会
みなさん、こんにちは。
 
 
ポリファーマシー対策を効果的に行うためには、実態調査と介入前後の効果判定が重要である。
 
 
日本におけるポリファーマシーの実態については、精神科薬領域ではある程度のデータが論文として発表されていたが、その他の薬剤領域のデータがあまりに少なかった。
 
 
しかし、最近になり実態研究が続々と発表されるようになった。
 
これらのうちいくつかをここで取り上げる。
 
 
まず、日本における大学病院入院高齢者における薬物有害事象が約10%であることがわかった。
 
 
1年間で日本人高齢者のうち44%が不適切処方を受けており、不適切処方患者の医療費消費は大きいという結果が出た。
 
 
ポリファーマシーと転倒には有意な関連がある、ということが日本人高齢者対象の横断研究と縦断研究で示された。
 
 
一方、われわれもこの分野の臨床研究に着手し、さまざまな事態調査を行った。
 
 
まず、急性期病院への高齢救急入院理由を連続700人について調べ、約5%のケースが薬剤有害事象であることを示し、これらの事象とポリファーマシーに有意に関連があることを示した。
 
 
訪問診療患者において、スクリーニングツールで評価してみると、不適切処方がかなり多く、ポリファーマシーの患者に不適切処方が多いということも判明した。
 
 
急性期病院における入院のリスクはポリファーマシーがあると有意に増大する、ということもわかった。
 
 
以上のようにさまざまな調査結果が学術論文として発表されるようになったが、この分野の臨床研究の展開が望まれることを我々は2012年に書籍として発表しており、その後の急速な展開をうれしく思う。
 
 
国の研究費補助の対象として研究公募を広く発表し、優先的に配分することが望まれる。
 
 
今後はさらに、調査研究の対象とする状況を多方面とすることが重要である。
 
 
外来患者、入院患者、施設入所患者、在宅患者のそれぞれについて、処方数、処方内容、薬剤副作用の頻度と内容・アウトカムなどを調べる。
 
 
地域別、医療機関別、医師別のデータをそれぞれ評価して、その内容のフィードバックを個々の地域、医療機関、医師へ行う。
 
 
ローカルチャンピオンを称賛すると周りの人々も影響を受ける。
 
 
適切な処方を実践している「チャンピオン医師」を称える情報を医師に限定して公開すると、不適切処方の頻度を減らすことができる、ということも最近の研究で示された。

 

 

写真:うるま市海岸

 

 

 

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