今回は少し視点を変えてお送りします。
本題の前にメルマガ「ドクター徳田安春の最新健康医学」も併せてお願いします。
臨床推論の勉強はとても楽しくて役に立ちます。病態生理解剖、認知心理学、確率理論、など面白い学問体系で展開しています。
さてみなさん、下記の用語の意味を仲間に説明できますか?
オッカムの剃刀
ヒッカムの格言
ハリソンの法則
サットンの法則
ベイズの定理
これらは臨床推論の総論ルールとしてとても重要です。ぜひ、マスターしておきたいですね。ただし、日本の医学部の授業ではまだ教えているところは少ないようです。そこで、不肖徳田が全国の学生の皆さんのために、「マンガ臨床推論」を上梓しました。役に立つと嬉しいです。
それでは、臨床推論の各論ルールとはなんでしょうか。それは症候学symptomatologyです。私はちょうど日本医事新報で、毎月2回の症候学講座(診断推論講座)を連載していますので、参考にしてみてください。胸痛、頭痛、下痢、・・・などの鑑別です。
さて、これらを座学で丸暗記するだけで、すぐにエキスパートになれるのでしょうか。残念ながらそう簡単ではありません。臨床推論はダイナミックな複雑系的生命体である患者さんを相手にしています。生物学的のみならず、社会的、心理的な存在である生命体なのです。
それでは、どのようなトレーニングが必要なのでしょうか。それは省察的実践です。理想的には、未診断ケースの初診から先頭に立って、指導医とともに診ていく。そして、即時的なフィードバックを受け続ける。「闘魂外来」ですね。
また、観察能力も必須です。まず、患者さんの観察。これは、単なる観察ではなく、「愛」のある観察です。愛と言っても、これは恋愛の愛ではありません。これは、敬愛の愛です。敬愛の愛による観察は最強なのです。
そして、指導医の医療面接と診察を詳細に観察すること。一挙手一投足に注目するのです。どんなときにどんな問診をするのか、こんなときこんなフィジカルをするのか、を観察してみてください。そうすることで、「こんなとき、フィジカル」が身につきます。
「闘魂外来」が近くで開催されないところの医学部の学生さん。こんなときはどうする?そんなときは「こんなとき、フィジカル」を何度も繰り返して読むのもいいかもですね。
今回は以上です、話変わって、お笑い芸人のピース又吉さんが第153回芥川賞を受賞し出版元である文芸春秋は100万部へ増刷するといいます、お笑い芸人の人が純文学で賞をとるのは異例中の異例だそうです、彼の祖父は沖縄県出身ということもあり、これからも是非頑張って頂きたいですね、では次回に。
ドクター徳田安春の養生訓―元気な100歳をめざせ | |
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