燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医徳田安春の最新医学情報集。問診、フィジカル、医療安全、EBM、臨床研究に強くなれます。

睡眠も大事 連載 その30

2013-05-10 | 本の紹介

 健康長寿のためのライフスタイルについて考えていますが、続いては睡眠についてです。

 睡眠は人間の生命機能を維持するために必要不可欠な生体現象です。 人間は一年のうち、賞味100日以上を睡眠に費やしています。 しかし現代人の睡眠時間はどんどん減少してきています。 現代社会では、複雑な社会システムによるストレスの増大、24時間社会、夜型生活スタイルへの変化、そして睡眠を妨害する環境などにより、睡眠不足が増加しています。 平成15年度の「沖縄県民健康意識調査」において、睡眠時間が「6時間未満」と答えた人は全体の約30%と報告されています。

 ぐっすりと眠れた日の朝は、身体がリフレッシュし、気分もよく、食欲も旺盛で、意欲的な一日を過ごすことができます。 健康な睡眠は、心の健康、学習記憶機能、生体リズムの保持、ストレスへの防御、そしてサクセスフル・エイジングなどに大きな役割を果たしています。

 短く浅く、貧弱な睡眠では、記憶や学習機能の低下、感情コントロールの低下、運動能力の低下、免疫力の低下などをきたします。 また、日中の眠気が増加し、注意力や判断力の低下によるヒューマンエラーの増大により、職場や家庭、交通機関における事故の増加をきたします。 そのほかにも、睡眠には日中に入力された記憶内容を脳内に整理して固定し、不必要な精神的ストレスを消去する働きがあることが、最近明らかになってきています。 高齢者では、睡眠不足は意欲の低下や抑うつ状態を引き起こし、社会的活動も低下する原因にもなります。

 健康長寿を実現するためには、適切な睡眠を確保することが大切であることが、科学的にも証明されてきています。 健康な睡眠の確保のために重要なことは、生活スタイルの改善です。 そのためには、次のようなことを習慣として実行するとよいでしょう。

・日中に規則正しい運動をする  ・夕食後には、仮眠、カフェイン、大量のアルコールをとらない   ・就寝前には、激しい運動やテレビ鑑賞、熱いお風呂は避ける  ・自分にあった寝具を選択する  ・静かで暗く、適度な室温、湿度の寝室環境を保つ  ・眠れない場合には、無理に眠ろうとはしない

 今回はこの辺で、次回は食生活について考えていきましょう。

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