今回も前回のつづきです、どうぞ
OSで診断仮説を考えさせて、考えながら病歴を取り診察をするという教育は、座学的には学びますが、それはそのとき限りです。実際の臨床実習に入ったときに、それを徹底的に実践トレーニングをしないと身につかないと思います。臨床推論のスキルとそれに基づいたプレゼンを繰り返しトレーニングして、実際に声に出させないとできないと思います。言わせたら「ああ、そうか」と言うんですけど、実際にやらせるとできません。
ですから、pertinent positive, pertinent negative を考え、いろいろな患者さんのプロブレムリストをまとめて、どうしてこの検査が必要で、この検査は要らないのかをディスカッションする。それを、常に指導医がフィードバックするという必要性があると思います。「この検査はやったの?」「あの検査はどうしてやっていないの?」というカルチャーでなく、「どういう適用でこの検査をやるんですか?」というカルチャーに変えないといけません。
どうやってカルチャーを変えるか
なぜ、我々は検査の適用にいちいち細かく言うのかと、目が点になっている人もいます。我々の側からすると、逆に「この人は、すごい検査を出すなぁ」という感じがあります。でも、いろいろ話しをしてみると、その先生方も、基本的には無駄な検査をしたいと思っているわけではないんですね。無駄な医療費を使いたいとは思ってないし、患者さんをよくしたいというゴールは一緒です。
そう考えると、問題はネゴシエーションというか、カルチャーを我々の色に変えることにあります。我々がストラテジーをもつことで、徐々にではありますが、いまはだいぶ変わってきました。例えば「HFABP検査をどうして出すのか」といった話しに食いついてくるようになりましたし、以前はそれを出していた先生が出さなくなりました。
そして、同じマインドをもっている人の数を増やすことが重要です。まず仲間を増やすということが、重要なストラテジーです。1人では闘えません。
まずは、数をある程度増やすべきです。1人でやっても、変人扱いされるだけです(笑)。それにプラスしていまやっているのは、とてもいい外国の病院からときどき外国人を呼んで講演をしてもらうことです。皆の前でケースディスカッションをしてもらって、彼らがどのようなストラテジーで臨床推論、診断推論を行っているかをデモンストレーションしてもらいます。これを見ると、彼らはまたビックリします。
例えばボストンのマサチューセッツ総合病院から来た人が、1時間以上のH&P(病歴と身体診察)の話しをして、検査の話しは5分で終わらせる。それを見てビックリするわけです。
今回は以上です、しかし、インフルエンザが爆発的に流行してます、学校や仕事が始まると教室や職場といった、狭い空間に何人もの人がいることになるので、どうしても1人インフルエンザにかかっている人がいると、うつされてしまいます、手洗い、うがいを忘れずに、では次回に。