燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医徳田安春の最新医学情報集。問診、フィジカル、医療安全、EBM、臨床研究に強くなれます。

ありがたい太陽 連載 その34

2013-05-25 | 本の紹介

 健康長寿のためのライフスタイルを考えるシリーズの今回は日光と音についてです。

 日光の紫外線は皮膚に作用し、ビタミンDをつくる効果があります。 ビタミンDは骨の発育やカルシウムの吸収を促進します。 ビタミンDが不足すると、小児では「くる病」、成人では「骨軟化症」をきたします。 冬の季節の雪国ではどうしても家にこもりがちになり、日光にあたる機会もすくなくなります。 そして日光不足が運動不足とあいまってさらに骨をもろくします。 冬には短時間でも日光にあたるように心がけましょう。

 ただ、紫外線のあたりすぎは、肌そのものにとっては有害です。 皮膚の細胞のDNAを破壊することにより、老化現象である「しみ」「しわ」「小じわ」の原因になります。 日焼けサロンに通い、小麦色に焼けた肌を自慢する若者がいますが、皮膚の老化を逆に進行させているのです。  

 また最近では、80歳以上の高齢者で白内障が増えており、多くの高齢者がレンズ挿入手術を受けています。これは、長年に及ぶ紫外線への曝露の影響もあります。 紫外線から目を守るため、日差しが強い日中に外出する際には、紫外線遮断効果のすぐれたサングラスを着用することをおすすめします。

 最近は若い世代を中心に、騒音性難聴が増えています。 とくに、ポータブル音響機器の普及、ロックコンサートやディスコやクラブの人気上昇などにより、若い世代の聴力が危機に瀕しています。 「一般に聴力が低下するのは高齢者になってから起こる」という通説は崩壊しつつあります。 

 聴覚機能が保たれていなければ、他人とのコミュニケーションを円滑に行うことはできません。 聴覚機能が低下することにより、周囲から疎遠になり、ひいてはうつ病や認知症の誘因になるともいわれています。

 今回はこの辺で、次回は社会的活動への積極的参加と生きがいについて考えていきましょう。

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