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ケース尿中 AG の回答

2021-05-24 | 闘魂症例検討会
みなさん、こんにちは。

 

【解説】
正解は「尿中AG=16
 
尿中AG =NaKCl
 
= 42+18-44
 
= 16
 
 
 
AG正常型代謝性アシドーシスでは、下記表のように、2つの腎、2つの管(くだ)、2つの対償後、そして薬剤を考える。
 
 
 
表:AG正常型代謝性アシドーシスの原因
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チェックマーク 2つの腎臓病変
 
  (1)尿細管性アシドーシス尿中AG=(Na+K)-Cl 
 
      I型(遠位型)K  尿pH>5.5  尿AG>0
 
        II型(近位型) K↓ 尿pH尿AG<0
 
        IV型(低レニン性低アルドステロン症)K↑尿pH尿AG>0
 
  (2)腎不全
 
 
チェックマーク 2つの管病変:下痢や消化管婁・膀胱尿管婁
 
 
チェックマーク 2つの代償後: 呼吸性アルカローシス・DKAの後  
 
 
チェックマーク 薬剤性(NS大量・アセタゾラミド)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 
本ケースでは、K↓、尿pH>5.5、尿AG>0であり、I型(遠位型)尿細管性アシドーシスを考える。
 
これまで既往が無いこととから中毒等の可能性も考慮する。
 
 
中毒のうち、建設業従業員であることから、トルエン(シンナー)中毒の可能性が浮かび上がる。
 
 
 
【経過】
問診を追加したところ、数週間前からシンナー吸引を行っていたことが判明した。
 
 
トルエンは腎尿細管に影響し、I型(遠位型)尿細管性アシドーシスをきたす。
 
また、シンナーの中心成分であるトルエンは肝臓で代謝され馬尿酸となり、アニオンギャップを軽度増大させる。
 
その後、馬尿酸はカリウムと結合して尿中に排泄されるので、低K血症をきたす。
 
 
 
take home message
 
アニオンギャップ開大があってもアニオンギャップ正常型の代謝性アシドーシスも同時に存在することあり。
 
酸塩基平衡異常を疑うケースではかならずAGと補正HCO3も算出する。
 
酸塩基平衡異常の病態は複数同時に存在することあり。

 

 

写真:浦添市の海岸

 

 

 

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