健康長寿のためのライフスタイルを考えていますが、今回はこころについて考えていきましょう。
2001年ケンタッキー大学老年学センターは、修道女180人(当時の平均年齢22歳)が手書きしたみずからを振り返る文章を分析し、文中の肯定的な感情と、60年後の当人の健康状態を比較しました。 その結果、「喜び」や「感謝」といった言葉を使っていた修道女たちは、否定的な感情を記していた修道女よりも最長で10年も長生きしていたことが示されています。
一方、ロンドン大学研究チームは、ロンドン在住の中高年を対象に、日常生活における感情の変化と健康状態を調査しました。 その結果、毎日とても幸せだと答えた人は、身体的にも健康であることが示されました。 心理状態と生理作用の関係も評価した結果、幸福を感じると、神経内分泌系の作用、炎症、心血管の活動が改善することもわかりました。 そこでは被験者の唾液中のストレスホルモンであるコルチゾールの含有量が測定され、最も不幸な被験者と最も幸せな被験者とでは、コルチゾール濃度に約30%もの差が出ていました。 また、幸せな被験者は、心拍数も一日中低くなっており、心血管系が健康であることを示していました。
ロンドン大学研究チームは、これらの結果により、「人は健康だから幸せだというだけではなく、幸せだから健康であるといえる」と述べています。
メリーランド大学の研究者たちは、「笑いは血管の健全な機能と関連がある」とする研究を発表しています。 この研究では、被験者に映画の笑える場面と緊迫した場面をみせたところ、笑いを誘う場面により、血管が拡張し全身の末梢血液循環が改善したことがわかりました。
おおらかで明るい性格でいることも健康長寿の生活にプラスとなります。 前にありますが、もともと沖縄県の女性は頑張り屋が多く、おおらかな性格で細かいことは気にしない楽天家が多かったのです。 これも世界第一位の長寿地域の要因だったことは間違いないでしょう。 現在男性長寿日本一の長野県で行われた健康長寿者生活実態調査でも、性格と健康長寿の関連が示唆されました。 その結果によると、健康長寿者の性格は、若い頃に比べると「のんびり」で「温和」になったと答えた人がおおく、一方で若いときから「積極的」で「几帳面」な人が多いということも判明しました。
今回はこの辺で、次回は日光について考えていきましょう。