今回も前回に引き続き食について考えていきましょう。
コレステロールのなかで悪玉コレステロールと呼ばれているLDLコレステロールが動脈硬化を引き起こすときに、過酸化LDLコレステロールとなる段階があります。 この前段階を形成する悪の根源として、過酸化脂質を多く含む食品があります。 オムレツ、カレーライス、サンドイッチ、焼きそば、スパゲッティ、目玉焼き、ハンバーガー、ハムサンド、餃子、トースト、クリームスープなどであり、頭文字をとって、「オカーサンヤスメ、ハハキトク」と呼んでいます。 これらのメニューは、とくに子供たちには人気がありますが、将来の動脈硬化をつくる原因となると理解させる必要もあります。
ブレスローの七つの健康習慣には、「不要な間食をしない」とありますが、なかでもとくに、ジャンクフード(ファーストフード)をさけることが大切です。 2005年、著明な医学雑誌に掲載された研究によると、ジャンクフードをよく食べる人は、肥満になりやすく、糖尿病のもとになるといわれているインスリン抵抗性になりやすいことが証明されました。
動脈硬化を起こした高齢者の動脈を病理学的に調べてみると、異常なカルシウム蓄積が起こっている所見が認められます。 しかしながら、実際にはこれはむしろカルシウムの摂取不足で起こっており、カルシウム・パラドックスと呼ばれています。 カルシウムの摂取不足になると、副甲状腺ホルモンというホルモンが副甲状腺から過剰に分泌され、骨からカルシウムを遊離し、結果として骨のカルシウムが動脈に沈着していきます。
平成12年の国民栄養調査の結果では、日本人のカルシウム摂取量の平均は547mgで、成人の栄養所要量600mgを下回る結果であり、日本人に最も不足している栄養素として毎年とりあげられています。 成長期の子供や、妊娠や授乳期の女性、そして高齢者などは、最低800~1000mgのカルシウムが必要です。
日本人の、一日あたりの塩分摂取量は11~12gであり、ヨーロッパ各国で5~6g、アメリカで8~10gで以前と比べ減少はしているものの依然としてまだ多いのです。 しょうゆや味噌などの調味料、漬物などの塩分が高い保存食が、原因の一つとして考えられていますが、最近ではコンビニの普及などによる加工食品利用の増加や、塩分含量の高い外食産業の普及なども一因となっています。 適切な塩分摂取量として、厚生労働省では一日10gを目標に掲げてますが、世界保健機関(WHO)ではその半分の6gを推奨しています。 最近改訂された日本高血圧学会による「高血圧治療カイドライン」では、目標塩分摂取量が6gに引き下げられました。
今回はこの辺で、薄味に慣れて、もっと出汁を感じるようにするといいと思います。 次回はこころの健康について考えていきましょう。