予防医療ではさまざまな予防接種、すなわちワクチンが推奨されています。ワクチンの効果を証明するには臨床比較研究が必須です。ワクチン、偽薬どちらのグループに割り当てられるか、研究者にも患者さんにもわからないようにくじ引きで決めるようなやり方(ランダム化)で比較研究を行います。
でも、どうしてこうした手間のかかる方法で研究するのでしょうか。
実は、ワクチンをうてば全員肺炎にかからず、うたなければ全員肺炎にかかるというものではありません。ワクチンをうったのに肺炎にかかる人もいれば、逆にうたなかったのに肺炎にならない人もいます。
現代の医学的治療や予防法のほとんどは、効果が微妙で一目瞭然にわかるものではありません。思い込みや先入観が入り込んで効果の判断を誤る可能性も出てきます。
ワクチンの効果を示したいと内心で考えている研究者はより元気そうな人をワクチングループに割り当てるかも知れません。結果として本当はワクチンが効かなくても効くと判定してしまうことがあります。
ランダム化比較試験のような研究方法は、手間はかかりますが、このような誤りを少なくすることができます。できるだけ科学的な方法で研究された結果を根拠(エビデンス)といい、「効果のある」治療予防法を示す指標として使われています。
医療者はエビデンスに基づいて患者さんを治療していますが、これからは患者さん自身がエビデンスを知ることも大切です。
今回はここまでです、しかし台風16号は、日本列島に直接上陸はありませんでしたが、オホーツク海高気圧を引っ張り出して来て、東京や関東地方は季節がかなり先走り10月の気温だそうです、猛暑になったり、異常低温になったりで体調管理が大変ですが、皆さんお気をつけ下さい、では次回に。
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ドクター徳田安春の養生訓―元気な100歳をめざせ |
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