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類人猿舎のチンパンジー勉強部屋が公開された日

2010-04-18 | 歴史
京都大学と協力してリニューアルを進めていた京都市動物園の類人猿舎の改装が終り、昨:2009(平成21)年4月18日一般公開が始まった。冒頭の画像はその日の朝日新聞夕刊に掲載されていた写真である。
チンパンジーがタッチパネルを操作してお菓子を取ることを学習する様子や、人工アリ塚から道具を使ってジュースを取り出す行動などを、提携する京都大学野生動物研究センター(以下参考※1参照)の研究の一端を動物園で見ることが出来る画期的な試みである。新しく作った類人猿の「勉強部屋」((約18㎡)には、正しく操作するとお菓子の出るタッチパネルやモニターが置かれた。同動物園では、2007(平成19)年5月に初子というチンパンジーが亡くなって以来、展示が途絶えていたが、改装に伴ない熊本県にある京大の関連施設からオス1頭、メス3頭が引っ越してきたので展示が復活した。来園者は、動物園に来てただ動物を見るだけでなく、それらの実験を見ることも出来るので、来園の楽しみが倍増し、来園者も増加するので動物園側にもメリットも大きい。
日本での霊長類学は、文化人類学者の今西錦司氏(現:京都大学名誉教授)が初めて野生のニホンザルの調査を、宮崎県の幸島でおこなった日が、1948(昭和23)年12月3日のことであり、その60周年となる2008(平成20)年4月1日、京都大学野生動物研究センターが、京都大学学内共同教育研究施設として開設された。
人間とそれ以外の生きものの関係を考える上で、野生での彼らのありのままを研究することはきわめて重要だそうで、日本は、先進国で唯一、野生のサルが広く分布する地域であり、ニホンザルはもちろんチンパンジーやゴリラなど、霊長類を対象にした研究では世界の第一線にあるそうだ。
2008(平成20)年2月制定の野生動物研究センター憲章の中に、同センターは、「野生動物に関する研究をおこない、地球社会の調和ある共存に貢献する」ことを目的とするとして、その具体的な課題を3つ挙げているが、その1つに、「地域動物園や水族館等との協力により、実感を基盤とした環境教育を通じて、人間社会を含めた自然のあり方についての深い理解を次世代に伝える」旨が挙げられており、その一環として、野生動物の保全と共生に向けた取組を京都市動物園において行うことを目的に、同年、京都大学と京都市が“野生動物保全に関する教育及び研究”の連携協定を締結。今回の京都市動物園内への類人猿の「勉強部屋」設置の運びとなったものであった。
京都市動物園には、京大野生動物研究センターの田中正之准教授(比較認知科学=動物と人の認知の比較研究)が常駐し、チンパンジー4頭が数字を覚え、タッチパネルを順番に押すことから勉強をさせているようだが、1年経った今、どの位、勉強の成果が出ているのだろう。興味惹かれるところだよね。以下では、京都市動物園での、4頭のチンパンジーの学習や彼らの持つ知性や群れでの行動を観察できるよ(4頭のうち、ヨウコ=雌、20歳は2009年12月26日に亡くなっている)。
チンパンジーのお勉強 : 「関西の動画よ~みて」動画(YOMIURI INLINE)
http://osaka.yomiuri.co.jp/movie/chimpanzee/index.htm
霊長類とは、原猿、サル、類人猿ヒトをすべてあわせたグループを呼んでおり、「霊長」とは、万物の首長たるものという意味で、分類学上の正式な和名は霊長目(プリマーテス、Primates)という(以下参考※2:京都大学霊長類研究所HPによる)が、このうち、ヒトの類縁であり、高度な知能を有し、社会的生活を営んでいるのが、類人猿(Hominoids)であり、現在、その仲間は、チンパンジーやゴリラのほかボノボオランウータンテナガザルの3種を含めた5種類である。類人猿には、人とそっくりなところが多くあるが、その1つは、皆、尻尾がないことである。“サル"というと、長い尻尾を思い浮かべるが、類人猿の尻尾が無くなった明確な理由は今のところ解明されていないようだが、尻尾を持つサルたちは枝の上を渡り歩き、尻尾によってバランスをとるが、一方、類人猿の特徴である懸垂姿勢、把握に依存した樹上生活が尻尾の意味を軽減させたのではないかと考えられているようだ。
最初の霊長類は、今から約6500万年前に食虫類(ネズミの仲間)から分かれて進化したといわれているが、それは、被子植物の繁栄とともに昆虫が増えた時期と一致しており、虫を捕まえたり、木々を移動するために両眼が前向きになり、立体視が可能になった。その後、果実や葉を摂食するようになると霊長類の体格は大きくなり、そして、夜行性から昼行性へと変化した。
果実、木の葉、樹皮、昆虫、などさまざまな食物を食べられるよう消化機能を変化させ、さらに、“われわれヒトやチンパンジーの祖先は小型哺乳類の肉を摂食するようになった。”
霊長類について、現生のヒトや類人猿を使った遺伝的な研究からは、テナガザル、オランウータ ン、ゴリラの順に分岐し、最後にチンパンジーとヒトが分かれたと考えられているようだが、ただ、現在のゴリラやチンパンジーの直接の祖先の化石は皆無と言ってもよい状況で、実際に彼らがどのようにして分岐したのかは、よくわかっていないようだ。(京都大学霊長類研究所)
ヒトとチンパンジーの祖先が大きく分かれ始めたのは、500~700万年と考えられており、ヒトの祖先はめまぐるしい進化をとげ、アフリカ大陸から進出していったが、一方のチンパンジーはアフリカに留まり、その知能と身体能力を発揮して独自のコミュニティをつくりあげていったようだ(以下参考の※3参照)。
最もヒトに近いといわれるチンパンジーは、知的能力が高いことから人から教えられたことをよく理解し、いろいろな芸も出来るので、子供から大人まで、動物の中でも非常に、人気の高い動物である。
日本テレビ系列でm現在は毎週土曜日19:00 から放送されている動物バラエティ番組・天才!志村どうぶつ園では、様々な動物が登場するが、中でも、相棒のブルドッグ「ジェームズくん」と出演し、絶妙なコンビネーションを見せるオスのチンパンジー・パンくんの登場する「パンくんシリーズ」の人気が高い。登場するパンくんは、生まれた頃より人間と共に生活し、人間の生活様式を教えられてきたため、特に人間のような行動をとり、趣味を持つと番組内で紹介されるが、さまざまな行動の意味や目的を実際に理解できているかどうかは疑問であり、ストーリーの大部分は演出だと考えるのが自然である。
可愛いパン君は、肌色の顔をしているが、これはまだ子供だからであり、チンパンジーが大人になると顔色は黒くなる。
先に、“われわれヒトやチンパンジーの祖先は小型哺乳類の肉を摂食するようになった。”ことを書いたが、野生チンパンジーの特徴的な習性のひとつにこの狩猟行為があり、大人になったオスは集団で同じ霊長類であるアカコロブス(体重10kg弱の中型)などのサルやブッシュバックブルーダイカー、などの小型のレイヨウ類(有蹄類)など哺乳類を捕獲し、それらを肉食しているようで、中でもアカコロブスが頻繁に食べられているという。この際活躍するのは、主にワカモノ期や、若いオトナオスオスであるが、せっかく捕らえても強いオトナオスに奪われてしまうことが多い。つまり、肉を食べられるのは、オトナオスとそのオスと仲の良いものということになるそうだ。又、チンパンジーのオスは哺乳類を肉食するだけでなく、同種の子供を殺す「子殺し」という行動もするが、これは、強いオスが自分の遺伝子を残すための行為だといわれている。因みに、チンパンジーとは同属のボノボは、チンパンジーとは異なり、平和的な動物であると考えられているようだが、ボノボもほかのサルを追い回し、捕らえてエサにしているという報告がされているという(以下参考の※5参照)。
このように哺乳類の肉を狩りをして食べるという習性は、餌の豊富な森に暮らすゴリラやオランウータンには見られず、チンパンジーや人類が肉を食べることで、食物の少ない乾燥地帯へと生息域を広げていったと考えられているようだ。
以下参考の※4:「古世界の住人」のチンパンジー>[ブログ(チンパンジーのえげつなさ)]」には、アフリカ西部シエラレオネのタクガマ動物保護区域では、数頭のチンパンジーが米国人3人を乗せたタクシーに襲い掛かり、拳でフロントガラスを叩き割り地元の運転手を引きずりだし、地面に叩きつけ、運転手の両手、両足の生爪を剥がしたうえ、運転手の顔面の食べて絶命させた」・・・というショックングなことが書かれている。
天才!志村どうぶつ園にでてくるパンくんのような芸達者なチンパンジーは可愛くて、とても恐ろしいイメージは沸いて来ないが、テレビやサーカスなどで、人気者になっているのは、いずれも肌色の顔をした子供のときのチンパンジーだからで、顔の色が黒くなった成長したオスのチンパンジーは握力が300kgもある怪力の持ち主で、類人猿の中でも凶暴な性格をもつ猛獣に近い存在で、人間の言うことも聞かなくなり、体力的にも人間を凌駕するため、ほとんどの場合が動物園の檻の中で余生を過ごすようになるというが・・・京都市動物園の「勉強部屋」などにいるもう成人したチンパンジーの教育などは大変なことなのだろうね~。
大型類人猿のオランウータン、ゴリラ、チンパンジー、ボノボなど霊長類はCITES(ワシントン条約)において、絶滅の危惧がある、あるいはその怖れがある種として位置づけられている。その原因はさまざまであるが、性成熟が遅いことのほか、生息地である森林の農地への転換、木材の伐採、鉱物資源の採掘、食肉やペットとしての狩猟捕獲、エボラ出血熱などの人獣共通感染症などが原因に挙げられているようだ。そのことから、大型類人猿の保全のため、国際連合環境計画(UNEP)は、大型類人猿保全計画(GRASP=GReat Apes Survival Project)を2001(平成13)年9月に立ち上げ、既存の国際法、国内法の遵守を類人猿生息国に迫るだけでなく、生息国の地域住民がかかえる社会的・経済的問題を解決するため、密猟や違法な森林伐採を防止する活動とあわせて、地域住民に対する環境教育や、類人猿の肉の商取引に代わる産業の開発にも取り組み、人間と類人猿の共存をはかる試みを実践しており、このGRASPの活動を支えるGRASP-Japan(以下参考の※6参照参照)が、日本の大型類人猿研究者を中心に設立されている。
ところで、先にあげた人気の動物バラエティ番組・天才!志村どうぶつ園では、番組開始時、司会者としてオランウータンの「チカちゃん(メス・5歳)」(那須ワールドモンキーパーク・栃木県那須町.以下参考の※7参照)を起用していたが、CITES(ワシントン条約)に抵触したことから、わずか2回の出演で降板となり、その後、「チカちゃん」は出身国へ送還となったそうだ(ここ参照)。又、当番組に出演しているチンパンジーの「パンくん(オス・5歳)」も希少動植物の取引を規制する種の保存法違反の疑いをかけられ、飼育元である動物園「カドリードミニオン」(熊本県阿蘇市)が環境省の事情聴取を受けることになったようだ。時を同じくして番組内の名物コーナーであった「パン&ジェームズのおつかい大挑戦」シリーズも終了した(番組内では終了の理由をパン君が成長したためと説明している)。この行政指導ののち、カドリードミニオンは展示・研究・学習を目的とした総合施設「チンパンジー学習の森」を設置し、チンパンジーのふれあい交流展示をおこなうようになったようで、現在は、パン君のテレビ出演も園外では無く、カドリードミニオン内でのみ行なわれている(以下参考の※8、又、詳細はパンくん#法律抵触問題を参照)。
霊長類の中で、テナガザル、オランウータ ン、ゴリラの順に分岐し、最後にチンパンジーとヒトが分かれたと考えられ、このヒトやチンパンジーの祖先だけが小型哺乳類の肉を摂食するようになったというが、我々のイメージとは異なる野生のチンパンジー社会の凶暴性は、まさに人間社会の縮図かもしれず、人に最も近い動物と言う事も納得できるような気がする。しかし、恐らく、この世の中で、最も狂暴で節操のない動物は人間だろうからね~。第一、どんな狂暴な動物が食肉をするのも、ただ生きてゆくために、空腹を満たすだけであり、それ以上のことはしないが、人間は、空腹を満たすだけでなく、あれが美味しいだの何だのと言って、必要以上に食べてメタポになったり、余分なものを作って捨てたりと無駄なことをしているし、動物が生きてゆくために強いものの遺伝子を残すための子殺しをするのとは異なり、自分の欲求を満たすためや感情的なこと、憂さ晴らしなどで簡単に人を殺すだけでなく、自分達が生んだ子供や又産んでくれた親まで平気で殺し、それを見つからないようにと、切り刻んで、燃やしたり、土に埋めたりする者が多くなってきた。これは、もう、チンパンジーなどと比較にはならない低俗で狂暴な獣に成り下がっている。そんな凶悪な犯罪は起さず、普通に真面目そうに暮らしている私たちにしても、結局は、自分達の欲求を満たすことだけ考えてきた結果、今や、地球環境を破壊しかねない状況を生み出しており、その点では、地球上で、もっとも危険な動物といえるだろう。そのうち、、ひょっとしたら、進化した猿たちが自分達が生存の為に必要な自然を守ろうと人間どもに集団で争いを仕掛けてくるかもしてない。そして、SF映画「猿の惑星」のように進化したチンパンジーに狩られ、裁判にかけられるようになるかもしれないね~。
(画像は、(2009年4月18日朝日新聞夕刊)

類人猿舎のチンパンジー勉強部屋が公開された日:参考へ

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